あなたの会社は「採用弱者」になっていませんか ──気づかぬうちに人材市場から外される企業
杉山 晃浩
はじめに|「うちは採用弱者じゃない」と思っている会社ほど危ない
「大手じゃないから仕方ない」
「地方だから人が来ないのは当たり前」
「今はどこも採用が厳しい」
こうした言葉を、経営者の口からよく聞きます。
しかし、ここで一つ確認しておきたいことがあります。
採用弱者とは、“人が採れない会社”のことではありません。
採用弱者とは、
**人材市場から“選択肢として外されている会社”**のことです。
そして怖いのは、
その事実に会社自身が気づいていないケースが非常に多いことです。
第1章|採用弱者は「負け組」ではありません
まず誤解を解いておきます。
採用弱者=
経営が下手
魅力がない
努力していない
という意味ではありません。
実際には、
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真面目に経営している
-
法令も守っている
-
社員も悪くない
それでも、
採用弱者になってしまう会社が数多く存在します。
なぜでしょうか。
第2章|採用弱者は、静かに生まれます
採用弱者は、
ある日突然そうなるわけではありません。
次のような変化が、
少しずつ積み重なっていきます。
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応募が減る
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応募が来ても辞退される
-
内定を出しても決まらない
しかし会社側は、こう考えがちです。
「今回はたまたま」
「時期が悪かった」
「求人媒体が合っていなかった」
こうして原因を外に求めている間に、
市場からの評価は静かに下がっていきます。
第3章|採用弱者の会社に共通する思考パターン
現場で見てきた限り、
採用弱者になっている会社には、
共通する思考パターンがあります。
① 採用を「作業」だと思っている
求人を出し、応募が来たら対応する。
そこに戦略がありません。
② 採用と定着を別物として考えている
「辞めるかどうかは本人次第」
という発想が残っています。
③ 応募者目線が抜け落ちている
自社がどう見られているかを、
ほとんど考えていません。
これらは、
経営者が悪意を持っているわけではなく、
前提がアップデートされていないだけです。
第4章|人材市場は、すでに「選ぶ側」が変わっています
かつては、
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会社が人を選ぶ
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面接で見極める
-
条件を提示する
という構図が一般的でした。
しかし、人口減少が進む現在、
人材市場の主導権は完全に変わっています。
今は、応募者が会社を選ぶ時代です。
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どんな会社か
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どんな人がいるか
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どんな働き方か
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長く続けられそうか
これらを総合的に見て、
「最初から候補に入れない会社」も増えています。
これが、
採用弱者の正体です。
第5章|採用弱者の会社がやりがちな行動
採用がうまくいかなくなると、
多くの会社は次の行動を取ります。
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求人回数を増やす
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媒体を変える
-
条件を少し上げる
しかし、これらは
表面的な対処に過ぎません。
採用弱者の問題は、
「見せ方」ではなく
**「設計そのもの」**にあります。
第6章|採用弱者から抜け出す会社が最初にやること
採用弱者から抜け出す企業は、
最初に次の問いと向き合います。
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なぜ、うちを選ぶ理由があるのか
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どんな人に来てほしいのか
-
入社後、どうなってほしいのか
つまり、
採用を“経営の言葉”で語り直すのです。
ここで初めて、
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求人内容
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応募者対応
-
面接の意味
が一本の線でつながります。
第7章|採用弱者を脱却する鍵は「定着」にあります
採用弱者から抜け出す最大のヒントは、
実は定着にあります。
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辞めない人がいる
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長く働いている人がいる
-
成長している社員がいる
この事実は、
最大の採用メッセージになります。
人が集まらない会社ほど、
「採用」ばかりを見ます。
人が集まる会社は、
「今いる人」を見ています。
第8章|採用定着士が果たす役割
採用定着士は、
採用弱者を責める存在ではありません。
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なぜ選ばれなくなっているのか
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どこでズレが生じているのか
-
何から直すべきか
これを、
構造として整理する役割です。
採用弱者という言葉は、
レッテルではなく、
改善の出発点です。
おわりに|採用弱者かどうかは「今」決まるものではありません
採用弱者になるかどうかは、
会社の規模や業種で決まるものではありません。
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前提を更新できるか
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採用を経営として扱えるか
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定着まで含めて考えられるか
この選択の積み重ねで、
未来は変わります。
もし今、
「最近、採用がうまくいかない」
「応募の質が変わった気がする」
そう感じているなら、
それは危険信号かもしれません。
しかし同時に、
立て直すチャンスでもあります。
採用弱者になるかどうかは、
これからの行動で決まります。