相続時に発生する社会保険の手続き一覧 ― 遺族が困らないために ―
杉山 晃浩
第1章|相続が始まると「社会保険の手続き」も同時に始まる
相続というと、多くの方は
「遺言」「相続税」「不動産の名義変更」
といったことを思い浮かべます。
しかし実際には、亡くなった直後から必ず発生するのが社会保険の手続きです。
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健康保険はどうなるのか
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年金は止まるのか、もらえるのか
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会社の社会保険はどう整理するのか
これらは、遺族の気持ちとは無関係に進めなければなりません。
しかも、期限が決まっている手続きも多く、「後でまとめて」は通用しないのが社会保険の特徴です。
このブログでは、相続時に発生する社会保険の手続きを一覧的に整理し、
「遺族が何に困りやすいのか」「どこで専門家の力が必要になるのか」を解説します。
第2章|まず確認すべき「亡くなった方の立場」
社会保険の手続きは、亡くなった方の立場によって大きく変わります。
最初に、次のどれに当てはまるかを確認してください。
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会社員だった
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会社役員・社長だった
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個人事業主だった
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国民年金・国民健康保険に加入していた
この区別を間違えると、
「本来もらえたはずの給付を逃す」
「不要な保険料を払い続けてしまう」
といったことが起こります。
第3章|健康保険に関する手続き一覧
① 健康保険の資格喪失手続き
亡くなった日をもって、健康保険の資格は喪失します。
会社員や役員であれば、会社を通じて資格喪失届を提出します。
② 保険証の返却
被保険者本人および被扶養者分の保険証を返却します。
返却が遅れると、医療機関でのトラブルにつながることがあります。
③ 埋葬料・埋葬費の請求
健康保険から、
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埋葬料(被扶養者が埋葬した場合)
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埋葬費(それ以外の場合)
が支給されます。
請求期限があるため、忘れずに手続きを行う必要があります。
④ 被扶養者だった家族の保険切替
配偶者や子どもが被扶養者だった場合、
国民健康保険への加入や、就職先での加入などの手続きが必要になります。
第4章|年金に関する手続き一覧
年金分野は、相続と混同されやすい代表例です。
① 年金は相続財産ではない
年金受給権そのものは、相続財産ではありません。
しかし、手続きをしないと不利益が生じる点で非常に重要です。
② 年金の受給停止手続き
亡くなった後も年金が振り込まれてしまうことがあります。
これは後日返還が必要になるため、早めの停止手続きが必要です。
③ 未支給年金の請求
亡くなる直前までの年金で、まだ支給されていない分は
遺族が請求できる権利です。
これを知らずに請求しないケースも多く見られます。
④ 遺族年金の確認
条件を満たせば、
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遺族基礎年金
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遺族厚生年金
を受給できる可能性があります。
「自分は対象外だと思っていた」という誤解も多いため、必ず確認が必要です。
第5章|会社役員・社長が亡くなった場合の社会保険手続き
経営者が亡くなった場合、社会保険は相続・会社・労務が一気に交差します。
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役員報酬はいつまで発生するのか
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社会保険の資格喪失日はいつか
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会社代表の変更と保険手続きの関係
これらを誤ると、
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保険料を過剰に支払ってしまう
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手続きが遅れ、行政から指摘を受ける
といった事態につながります。
特に中小企業では、
「社長=実務の中心」になっているケースが多く、
遺族だけでの対応は非常に負担が大きくなります。
第6章|相続と社会保険でよくある勘違い・見落とし
実務でよく見かける勘違いには、次のようなものがあります。
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年金は自動的に止まると思っていた
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社会保険は相続財産だから相続人が引き継ぐと思っていた
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期限があることを知らなかった
社会保険は、「知らなかった」では済まされない制度です。
特に遺族が精神的に不安定な時期に、
正確な判断を求められる点が問題になります。
第7章|遺族だけで対応するのが難しい理由
相続時の社会保険手続きが難しい理由は、制度そのものだけではありません。
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手続きが多岐にわたる
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役所・年金事務所・会社との調整が必要
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相続や会社手続きと並行して進む
これらを、喪失感の大きい時期に遺族だけで対応するのは現実的ではありません。
第8章|特定社会保険労務士・杉山晃浩事務所ができるサポート
特定社会保険労務士・杉山晃浩事務所では、
相続時に発生する社会保険手続きを全体像から整理し、
遺族が迷わず動ける状態をつくるサポートを行っています。
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健康保険・年金手続きの整理
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経営者相続における社会保険対応
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行政書士・税理士など他士業との連携
「何から手を付ければいいか分からない」
その段階からでもご相談いただけます。
第9章|まとめ|社会保険の手続きを知ることが、遺族を守る
相続時の社会保険手続きは、
必ず発生し、必ず誰かが対応しなければならないものです。
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知っていれば防げる混乱
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知らないことで失う権利
社会保険の手続きを整理することは、
遺族の負担を減らし、会社や生活を守ることにつながります。
困ったときは、
専門家に任せるという選択肢を、ぜひ思い出してください。