人本経営は“いい会社”を作る話ではない 経営を安定させるインフラの話です
杉山 晃浩
第1章|人本経営を「いい話」だと思った瞬間に、経営から遠ざかる
「人本経営」
この言葉を聞いて、どんな印象を持つでしょうか。
・社員を大切にする
・働きやすい会社
・理念経営
・余裕のある企業の取り組み
多くの経営者にとって、人本経営は「否定はしないが、今すぐ取り組む話ではない」テーマかもしれません。
しかし、その認識こそが、実は経営を不安定にする入口になっています。
人本経営は、会社を“よく見せる”ための話ではありません。
社員満足度を上げるためのスローガンでもありません。
人本経営とは、経営を止めないための仕組みの話です。
人が採れない
人が辞める
現場が疲弊する
トラブルが突然表に出る
こうした事象が続く会社ほど、人本経営を「きれいごと」として遠ざけてきたケースが少なくありません。
第2章|経営インフラとは何か?人本経営を同じ土俵で考える
経営者であれば「インフラ」という言葉の重要性は、直感的に理解できるはずです。
・会計・財務の仕組み
・IT・勤怠管理
・契約・法務
これらは、直接売上を生むわけではありません。
しかし、どれか一つが止まれば、経営は確実に不安定になります。
人本経営も、まったく同じ位置づけです。
人が安心して働ける
問題が小さいうちに見える
判断が属人化しない
こうした状態を支えるのが、人本経営という**「人に関する経営インフラ」**です。
インフラは、目立たず、地味で、後回しにされがちです。
しかし、壊れてから整えようとすると、コストもダメージも大きくなります。
第3章|人本経営インフラが壊れた会社で起きる現実
人本経営が整っていない会社で、よく見られる光景があります。
・社員が何を考えているのか分からない
・現場の不満が経営に届かない
・問題が「退職」「労使トラブル」という形で突然表面化する
社長はこう言います。
「急に辞められて困った」
「そんなつもりじゃなかった」
しかし、ほとんどの場合、それは“突然”ではありません。
見えていなかっただけです。
人本経営というインフラがない会社では、
社員の状態を把握する仕組みがありません。
結果として、経営判断は「感覚」と「過去の経験」に依存し、
問題は水面下で膨らみ続けます。
第4章|「人を大切にしている会社」でも、経営は不安定になる
誤解しやすい点ですが、
「人を大切にしている会社」=「経営が安定する会社」ではありません。
人を大切にする気持ちは、とても重要です。
しかし、それはインフラにはなりません。
・社長の裁量
・個別の配慮
・善意による調整
これらは、社長が元気で、現場規模が小さいうちは機能します。
しかし、次のような局面で一気に限界を迎えます。
・社長が多忙になる
・組織が拡大する
・世代交代が起きる
属人的な「いい経営」は、持続しないのです。
経営を安定させるのは、
“いい社長”ではなく、“仕組み”です。
第5章|人本経営インフラを構成する3つの要素
人本経営を「経営インフラ」として考えると、構成要素は明確になります。
① 社員の状態を把握できる仕組み
不満・不安・違和感は、必ず現場に存在します。
問題は、それが経営に届くかどうかです。
・アンケート
・面談
・定期的なヒアリング
これらは「社員満足度向上施策」ではなく、
経営のためのセンサーです。
② 判断基準・ルールの見える化
判断が属人化している会社ほど、人本経営は機能しません。
・誰に聞けばいいのか分からない
・判断基準が人によって違う
・説明がされない
こうした状態は、社員の不信感を生みます。
就業規則や運用ルールは、
「縛るため」ではなく、安心して働くためのインフラです。
③ 問題が“辞める前”に出てくる回路
退職は、最後のサインです。
その前に、必ず兆候があります。
・相談窓口
・エスカレーション設計
・外部の視点
これらがない会社では、
問題は“爆発”するまで表に出ません。
第6章|人本経営を「制度導入」で終わらせる会社の共通点
よくある失敗パターンがあります。
・とりあえず評価制度
・とりあえず1on1
・とりあえず福利厚生
現状把握をしないまま制度を入れると、
現場の負担は増え、不満が拡大します。
人本経営は、
「入れるもの」ではなく「整えるもの」です。
第7章|オフィススギヤマグループが関与できる理由
人本経営を「経営インフラ」として整えるには、
人事・労務・法令・現場運用を横断的に見る視点が不可欠です。
オフィススギヤマグループは、
・社労士としての労務・法令視点
・行政書士としてのルール設計
・採用定着・組織開発の実務経験
これらを組み合わせ、
制度導入ありきではない関与が可能です。
まずは、
・何が見えていないのか
・どこが詰まりやすいのか
を整理するところから関与できます。
終章|人本経営は、経営を安定させるための“見えない基盤”
人本経営は、会社をよく見せるための話ではありません。
経営を止めないためのインフラです。
後回しにしても、すぐに問題は起きません。
しかし、気づいたときには、
人がいない
現場が荒れている
信頼が壊れている
という状態になっていることも少なくありません。
だからこそ、人本経営は
「余裕ができたらやるもの」ではなく、
「安定させたいなら先に整えるもの」なのです。
次に考えるべきは、
「何を入れるか」ではなく、
「何が見えていないか」。
その整理から、人本経営は始まります。