人本経営が進むかどうかは、 社長の“いつもの判断”で決まる
杉山 晃浩
第1章|人本経営が進まない理由は、制度不足ではない
人本経営が進まない理由として、よく挙げられるものがあります。
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人事制度が整っていない
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福利厚生が弱い
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管理職が育っていない
確かに、どれも重要な要素です。
しかし、現場を見ていると、制度があっても人本経営が進まない会社は数多く存在します。
一方で、大がかりな制度がなくても、
社員が定着し、トラブルが少なく、組織が安定している会社もあります。
この差は何でしょうか。
結論から言えば、人本経営が進むかどうかは
制度の有無ではなく、社長の“日常の判断”で決まっている
という点に行き着きます。
第2章|社長の判断は、社員にとって「会社のルール」である
社長は、毎日いくつもの判断をしています。
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この要望は受けるか、断るか
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今回は注意するか、見送るか
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忙しい中で、誰の話を優先して聞くか
社長にとっては、その場その場の判断かもしれません。
しかし社員にとっては、それが会社のルールとして受け取られます。
明文化されていなくても、
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この会社では、こういう時は我慢する
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こういう話は後回しにされる
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ここまで言うと嫌がられる
といった「暗黙の了解」が、社長の判断を通じて蓄積されていきます。
人本経営とは、
この暗黙の判断基準が、人に配慮された形で整っている状態
だと言い換えることができます。
第3章|人本経営を遠ざける「社長の判断」あるある
ここで、実際によく見られる“判断あるある”を挙げてみます。
①「今回は特例で対応しよう」が常態化している
目の前の社員を助けたい。
トラブルを早く収めたい。
そう思っての特例対応は、決して悪意ではありません。
しかし、それが繰り返されると、判断基準が見えなくなります。
社員は
「結局、何が正解なのか分からない」
という状態になります。
②「忙しいから後で考える」が積み重なっている
社長は常に忙しいものです。
人の問題は、どうしても後回しになりがちです。
ただ、人に関する問題は、時間が経つほど小さくはなりません。
後回しにされた違和感は、確実に蓄積します。
③「悪気はないから大丈夫」と説明を省いている
社長の中では筋が通っていても、
説明されなければ社員には伝わりません。
悪気がないことと、納得されることは別です。
説明を省く判断は、人本経営から一歩遠ざかります。
④「辞めると言われてから考える」対応になっている
退職の申し出が出て、初めて面談をする。
これもよくある光景です。
しかし、退職は最終結果であり、
そこに至るまでの判断の積み重ねが必ずあります。
第4章|判断が変わると、職場の空気が変わる
社長の判断が「人本経営型」に近づくと、
職場には明確な変化が現れます。
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相談が早い段階で出てくる
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現場が様子見をしなくなる
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不満が爆発する前に言語化される
重要なのは、
社長が優しくなったかどうかではありません。
判断基準が一貫し、
社員が「ここまでなら話していい」と分かるようになることです。
人本経営が進む会社では、
問題が起きないのではなく、問題が早く見えるのです。
第5章|社長一人で判断を変え続けるのは、実はとても難しい
ここで、正直な話をします。
社長一人で、自分の判断を客観的に見続けるのは、かなり難しいことです。
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社長の判断は孤独
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入ってくる情報は偏りやすい
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過去の成功体験が強く影響する
これは能力の問題ではありません。
構造の問題です。
人本経営は、
「意識を変えればできる」ものではなく、
判断を点検する仕組みがなければ続かないのです。
第6章|人本経営を進める鍵は「判断のインフラ化」
人本経営を進める会社がやっているのは、
社長の判断を個人技からインフラに変えることです。
具体的には、次のような要素です。
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社員の状態が定期的に見える(アンケート・面談)
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判断基準が言語化されている(ルール・方針)
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判断結果を振り返る場がある(定期レビュー)
これにより、
社長の判断は再現性を持ち、ブレにくくなります。
人本経営とは、
社長の判断を、経営資産に変える取り組みとも言えます。
第7章|オフィススギヤマの経営伴走がフィットする理由
オフィススギヤマが提供する経営伴走は、
制度を売ることが目的ではありません。
社長の判断を
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整理し
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言語化し
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現場につなぐ
このプロセスを、第三者として支援します。
社労士・行政書士・採用定着支援という立場だからこそ、
「法令」「実務」「現場感覚」を同時に扱うことができます。
人本経営を
社長の感覚任せにしないための伴走
それが、オフィススギヤマの役割です。
終章|人本経営とは、社長の“判断の質”を上げる経営投資
人本経営が進むかどうかは、
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社員の問題でも
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制度の問題でもありません。
社長の“いつもの判断”の問題です。
だからこそ、
一人で抱えず、
感覚に頼らず、
定期的に点検する。
この積み重ねが、
採用・定着・トラブル防止につながり、
経営を安定させます。
人本経営とは、
社長の判断の質を上げるための、最も現実的な経営投資です。