社員採用で迷ったら、最初に整理すべき3つのこと ――採用できない会社が、無意識に踏んでいる“危険な順番”
杉山 晃浩
はじめに|「採用ができない」のではない。「始め方を間違えている」
「求人を出しても応募がない」
「条件を良くしても人が来ない」
「結局、紹介会社に頼るしかない」
最近、こうした声を中小企業の経営者から頻繁に聞きます。
しかし、これは景気や人手不足だけの問題ではありません。
多くの場合、
採用の“やり方”ではなく、“考え方の順番”を間違えているのです。
採用がうまくいかない会社ほど、
「どの求人媒体を使うか」
「どんな手法が流行っているか」
から考え始めます。
しかし、採用は本来、
手法を考える前に整理すべきことがあります。
今回は、
「社員採用で迷ったら、まずここを整理してほしい」
という3つの視点を、仮想事例を交えながら整理します。
第1章|「誰か欲しい」では、誰も来ない
― 採用目的が曖昧な会社に、人は集まらない
事例①
地方都市にある社員15名の製造業。
社長はこう言います。
「とにかく忙しいから、誰か1人欲しいんです」
求人票には、
-
製造スタッフ募集
-
経験不問
-
即戦力歓迎
と書かれています。
ところが、
応募はほぼゼロ。
たまに来ても、社長はこう感じます。
「なんとなくピンと来ない」
結果、採用は進まず、
現場はさらに疲弊していきます。
何が問題なのか
この会社の問題は、能力でも条件でもありません。
-
なぜ採るのか
-
採って何を任せたいのか
-
1年後、どんな状態になっていてほしいのか
これが一切整理されていないのです。
「忙しいから採る」
「辞めたから補充する」
これは採用理由ではなく、感情です。
👉 採用目的が言語化されていない会社に、
👉 応募者が安心して来ることはありません。
第2章|条件を出す前に、会社の“現実”を出せ
― 良いことしか言わない会社ほど、人が定着しない
事例②
別の会社では、無事に採用が決まりました。
求人票には、
-
アットホームな職場
-
やりがいのある仕事
-
成長できる環境
と、前向きな言葉が並んでいます。
ところが、入社後3か月で退職。
理由を聞くと、
-
思っていたより残業が多い
-
教育はOJT任せ
-
指示が人によって違う
社長はこう言います。
「最近の若い人は、我慢が足りない」
しかし、ここにも大きな誤解があります。
採用で隠してはいけないもの
採用がうまくいかない会社ほど、
-
良いことだけを伝え
-
大変なことは「入ってから分かるだろう」
と考えがちです。
しかし、求職者は
会社の良い面より、「現実」を知りたがっています。
-
忙しい時期はいつか
-
どんな人が評価されるのか
-
合わない人はどんな人か
👉 採用はアピールではありません。
👉 相互理解の場です。
第3章|「採らない基準」がない会社は、必ず失敗する
― 採用で一番高くつくのは「断れなかった1人」
事例③
面接で、社長は少し違和感を覚えていました。
-
受け身な返答
-
前職の愚痴が多い
-
価値観にズレを感じる
それでも社長は考えます。
「人手不足だし、やってみないと分からない」
結果はどうなったでしょうか。
-
現場と衝突
-
不満が周囲に伝染
-
既存社員が疲弊
-
最後はトラブル退職
採用で最も高いコスト
採用コストは、
-
広告費
-
紹介料
だけではありません。
-
周囲のモチベーション低下
-
現場の疲弊
-
管理者の消耗
これらは数字に見えないが、非常に高いコストです。
👉 採用で最も高くつくのは、
👉 「断れなかった1人」です。
第4章|3つを整理せずに手法を考えるのは危険
― 媒体を変えても、同じ失敗を繰り返す
ここまでの3つが整理されていないまま、
-
ハローワークを変える
-
Indeedにお金をかける
-
紹介会社を使う
こうした手法を増やしても、
結果はほぼ変わりません。
なぜなら、
-
誰を採りたいか不明
-
会社の現実が伝わらない
-
採らない基準がない
この状態では、
来た人を片っ端から断るか、無理に採るか
どちらかになるからです。
おわりに|採用で迷ったら、ここに立ち返ってほしい
採用で迷ったとき、
次の3つを思い出してください。
-
なぜ採るのか(目的)
-
何を提供できるのか(現実)
-
誰を採らないのか(基準)
採用は、
-
人事の仕事ではありません
-
現場任せでもありません
社長の考え方そのものが結果に出る、経営判断です。
「採れない」のではなく、
「整理しないまま走っている」。
そう気づいた会社から、
採用は確実に変わり始めます。
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