やらなきゃ損!節税効果は“金利”で考えろ──小規模事業共済の本当の価値

杉山 晃浩

第1章|「節税=金利」という視点を持てば、世界が変わる

「貯金しても金利がつかない時代。だから、お金は使ってナンボだ」
こんな声をよく聞きます。でも、本当にそうでしょうか?

実は、“節税効果”を“実質金利”として考えると、驚くほど効率のよい資産形成が可能です。
特に小規模企業の経営者にとっては、銀行に預けるよりもはるかに高い「利回り」を得られる制度があります。

それが「小規模企業共済制度」。
国が用意した“社長自身の退職金制度”でありながら、節税・資金繰り・将来の安心を同時に得られる仕組みです。


第2章|小規模事業共済ってどんな制度?──国が用意した“経営者の退職金”

小規模事業共済は、中小企業の経営者や個人事業主のために、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営している制度です。

✅ 主な特徴

項目 内容
対象 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主・会社役員など
掛金 月額1,000円~70,000円(500円単位)で自由に設定・変更可能
税制 全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除される
給付 退職・廃業・死亡などで共済金が支給される(共済金A、B)
解約 任意解約も可能だが、掛金納付期間により戻り方が異なる

つまり、掛けたお金は全額控除、事業をやめたときには退職金として一括受取可能、さらに途中で資金が必要なら貸付もできるという、まさに“経営者の味方”とも言える制度なのです。


第3章|どれくらい得なのか?──数字で見る“節税効果という金利”

では、実際にどれくらい「得」なのか?
具体的な数値で見てみましょう。

✅ 年間84万円(=月7万円)を掛けた場合の節税額

仮に、所得税率20%+住民税10%の経営者がこの制度を活用すると、

  • 所得控除額:84万円

  • 節税額:84万円 × 30% = 25万2,000円/年

つまり、**25万2,000円 ÷ 84万円 ≒ 30%の「実質利回り」**にも匹敵するインパクト。

銀行に置いておくより、「税金を減らすことが最大の利回り」だと考えれば、この制度の凄さが見えてきます。


第4章|資金繰りに困ったときも味方になる──「貸付制度」の柔軟さと裏技的活用

「退職金になるなら嬉しいけど、途中でお金が必要になったらどうするの?」

そんな心配もありますが、小規模事業共済には“契約者貸付制度”という仕組みがあり、自分の積立金を元にした融資が受けられます。

✅ 貸付制度の概要

  • 融資限度額:納付済掛金の7~9割程度

  • 利率:年利1.5%前後(変動制/担保・保証人不要)

  • 用途:事業資金・生活資金など自由

つまり、共済を担保に、自分のお金を“自分に貸せる”制度です。
銀行に頼らず、審査なしで素早く借りられるのは大きな魅力です。


✅ 低金利を逆手に取る「運用活用」という裏技

ここで、もう一歩踏み込んだ活用法をご紹介します。

たとえば、共済から年利1.5%でお金を借りて、その資金を3%〜5%の利回りで運用できれば
その差分が「手元に残る利益」となります。

もちろん投資にはリスクが伴いますが、安定した運用(例:国債・社債・インデックス投資など)で2〜3%を狙える方にとっては、共済からの低利融資は「資金調達のチャンス」にもなり得ます。

「節税しながら」「低利で借りて」「運用で増やす」
──これこそ、資金効率を最大化する経営者ならではの選択肢です。


第5章|落とし穴はないのか?──「途中解約」「短期解約」の注意点

「でも、途中でやめたくなったら損するんでしょ?」

確かにそのとおりで、掛金納付期間が20年未満で“任意解約”すると、元本割れする可能性があります。

ただし、ここが重要です。


✅ 退職・廃業・死亡は安心!共済金A・Bなら元本割れなし

節税目的で加入し、きちんと事業を終えたとき──つまり「退職」「廃業」「死亡」などの理由で共済金を受け取る場合(共済金A・B)には、20年未満でも元本割れしない仕組みになっています。

逆に、「気が変わったからやめよう」「資金が足りないから今すぐ解約したい」といった**“自己都合の任意解約”**だと、解約手当金が少なくなる可能性があります。

制度を「出口まで活用する」という意識が大切です。


第6章|事例でわかる!こんな経営者が得している

● 事例①:50代で加入→60代で円満廃業

宮崎県で美容室を営んでいたTさん(個人事業主)は、55歳で月5万円の共済に加入。
10年後、廃業に伴い共済金Aを受け取り、退職金として生活資金に充当。

→ 納付総額600万円に対して、受取額約680万円+所得控除による節税で大満足!


● 事例②:30代でスタート→貸付+投資で資金効率を最大化

飲食業のIさんは、共済に月3万円加入しつつ、共済貸付を利用して約100万円を借入。
その資金を社債とインデックス投資に振り分け、実質3.5%の利回りを実現。

→ 「1.5%で借りて3.5%で回す。差額2%は利益。こんな制度、他にない」


第7章|まとめ──「やらなきゃ損」と言われるには理由がある

小規模事業共済は、節税・資産形成・資金繰り支援がすべて1つになった制度です。
最大限活用すれば、「実質金利30%」を超える効果も見えてきます。

✅ 今すぐ始められるメリット

  • 月1,000円からでもOK(将来増額可能)

  • 節税効果は初年度からすぐに実感できる

  • 資金繰りに使える安心感、将来の退職金にもなる

少しでも気になった方は、オフィススギヤマに相談してみてください。

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