新入社員は最初の30日で “辞める理由”を探し始めている
杉山 晃浩
新入社員の早期離職は「突然」ではない
「まだ入社して1か月なのに、もう退職の相談が来た」
多くの中小企業経営者が、同じ言葉を口にします。
しかし新入社員の退職は、突然起きるものではありません。
退職という結果は、入社直後から始まる30日間の積み重ねによって生まれています。
実際、早期離職者の多くは次のように振り返ります。
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最初から違和感があった
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少しずつ不安が増えていった
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気づいたら「続ける理由」が見えなくなっていた
つまり、新入社員は入社と同時に、
「この会社で働き続けられるか」
を無意識に判断し始めているのです。
新入社員が最初の30日で見ているのは「仕事内容」ではない
新入社員が最初につまずく原因は、仕事の難しさではありません。
彼らが本当に見ているのは、次のような点です。
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職場の雰囲気は張りつめていないか
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失敗したとき、誰がどう対応しているか
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忙しいときでも質問してよい空気があるか
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上司や先輩がどんな表情で働いているか
新人は仕事より先に、会社の安全性を確認しています。
「この職場は安心して失敗できる場所か」
この判断ができなければ、能力以前に心が止まります。
30日間で蓄積される「辞める理由」
新入社員は、辞めるつもりで働いているわけではありません。
しかし日常の中で、次のような体験が少しずつ積み重なっていきます。
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教える人によって指示が違う
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忙しそうで話しかけづらい
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質問すると申し訳なさそうな反応をされる
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ミスの正解行動が分からない
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何を評価されているのか見えない
一つひとつは小さな出来事です。
しかし30日後、新入社員の心の中には次の言葉が浮かびます。
「ここで頑張っても、将来が想像できない」
これが、早期離職の正体です。
なぜ経営者には問題が見えないのか
経営者の多くはこう言います。
「特に不満は聞いていなかった」
「本人も大丈夫だと言っていた」
しかし新入社員は、本音を語りません。
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評価される立場だから
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空気を壊したくないから
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「甘えている」と思われたくないから
結果として、退職時に初めて知らされます。
「自分には合わなかっただけです」
これは本心ではありません。
本音を言える仕組みがなかった結果なのです。
30日間を現場任せにしている会社の共通点
多くの中小企業では、入社後の受け入れが次のようになっています。
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初日は会社説明のみ
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教育はOJT任せ
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忙しい日は放置される
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面談は問題が起きてから
決して何もしていないわけではありません。
ただし重要な点が一つあります。
30日間の設計が存在していないのです。
結果として、
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新人任せ
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現場任せ
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運任せ
という状態になり、定着が偶然に左右されます。
辞める理由を探させない会社の特徴
定着率の高い企業には共通点があります。
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入社初日から30日間の流れが明確
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教える内容が整理・共有されている
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定期的に話す機会がある
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成長の基準が言語化されている
ここで重要なのは「優しさ」ではありません。
安心して働ける構造があるかどうかです。
最初の30日は「教育期間」ではなく「信頼構築期間」
この30日間で新入社員が判断しているのは、
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自分は育ててもらえる存在か
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困ったとき、守ってもらえるか
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この会社で成長できるか
つまり、
「この会社を信じてよいか」
を見極める期間です。
信頼が形成されれば、人は簡単には辞めません。
なぜ中小企業ほど採用定着が難しいのか
中小企業には構造的な課題があります。
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人事専任担当がいない
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教育が属人化しやすい
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現場が忙しく育成が後回しになる
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正解が分からず自己流になる
これは努力不足ではありません。
社内だけで最適解をつくるのが難しい分野なのです。
採用定着士が関与すると何が変わるのか
採用定着士は「採用の専門家」ではありません。
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採用から定着までを一体で設計
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新入社員の30日・60日・90日を構造化
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経営者の想いを現場で機能する形に翻訳
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属人化した教育を仕組みに変換
感覚論や精神論ではなく、
再現性のある定着モデルを構築する専門家
です。
採用定着は現場任せでは解決しない
「現場が忙しいから育たない」
その通りです。
だからこそ、これは現場課題ではありません。
経営課題です。
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採用しても辞める
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育てても残らない
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現場が疲弊する
この負の循環は、経営判断によってしか断ち切れません。
最初の30日を変えれば、会社の未来は変えられる
新入社員が30日間で探しているのは、
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辞める理由
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それとも、ここで頑張る理由か
その分かれ道は偶然ではなく、設計で決まります。
もし今、
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新入社員が定着しない
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若手が育たない
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採用コストが回収できていない
そう感じているなら、
オンボーディングと採用定着の見直しが必要なサインです。
採用定着士は、会社を否定する存在ではありません。
経営者と同じ視点で、
人が辞めない会社の仕組みを共につくる伴走者
です。
最初の30日を変えることは、
3年後の組織を変えることにつながります。
オンボーディングは、採用定着士のオフィススギヤマにお任せください。