労働日・休日・休暇の違いとは?勤怠管理の基本をわかりやすく解説

杉山 晃浩

「休日に有給休暇を使いたいと言われたけれど、どう処理すればよいのだろう」

「休日出勤の代わりに休ませたから、これは振替休日でよいですよね?」

「会社を休んだ日は、すべて“休暇”として扱えばよいのでは?」

経営者や人事担当者から、このような質問を受けることがあります。

実は、こうした混乱の多くは、法律の難しい解釈が原因ではありません。その前の段階にある「労働日」「休日」「休暇」という3つの言葉が、社内で正しく整理されていないことから始まっています。

普段の会話では、どの言葉も「会社に行かない日」という意味で使われがちです。しかし、労務管理では意味が異なります。

この違いを曖昧にしたまま勤怠管理を続けると、有給休暇の日数、休日出勤の処理、割増賃金の計算などを間違えるおそれがあります。

今回は、労働日・休日・休暇の違いを、できるだけ専門用語を使わずに解説します。

最初に確認するのは「本来、働く日だったか」

3つの言葉を見分けるときは、最初に次の質問をしてください。

その日は、本来、働くことになっていた日ですか?

この質問に対する答えが、判断の出発点になります。

  • 本来働く日である……労働日
  • 最初から働かなくてよい日である……休日
  • 本来は働く日だが、休暇制度を使って休む……休暇

まずは、この関係を押さえておきましょう。

社員が会社に来なかったという結果だけを見て、休日や休暇を判断してはいけません。

「その日の勤務予定はどうなっていたのか」「休暇の申請があったのか」「会社が承認した制度は何か」という順番で確認する必要があります。

労働日とは「もともと働くことになっている日」

労働日とは、雇用契約、就業規則、会社カレンダー、勤務表、シフト表などによって、社員が働くことになっている日です。

たとえば、月曜日から金曜日まで勤務する会社であれば、通常、月曜日から金曜日が労働日になります。

シフト制の会社では、同じ月曜日であっても、Aさんにとっては労働日、Bさんにとっては休日ということがあります。

つまり、曜日だけでは判断できません。

社員ごとの勤務表やシフトを見て、その日に働く義務があったかどうかを確認します。

ここで大切なのは、労働日だからといって、必ず出勤しているとは限らないことです。

労働日に年次有給休暇を取れば、その社員は会社に来ません。それでも、その日は最初から休日だったわけではありません。本来は労働日であり、年次有給休暇という制度を使って休んだ日です。

一方、休暇の申請もなく、正当な理由もなく休んだ場合には、欠勤として処理することがあります。

したがって、会社に来なかった日をすべて「休日」や「休暇」として処理することはできません。

休日とは「最初から働く義務がない日」

休日とは、最初から働く義務がない日です。

会社カレンダーや勤務表で、あらかじめ休みと定められている日が該当します。

労働基準法では、原則として毎週少なくとも1日の休日を与える必要があります。例外的に、4週間を通じて4日以上の休日を与える方法もあります。

この法律上必要な休日を「法定休日」といいます。

一方、会社が法定休日以外にも設けている休日を「法定外休日」といいます。週休2日制の会社では、週2日の休みのうち、一方が法定休日、もう一方が法定外休日となることがあります。

ここは、割増賃金を計算するときに重要です。

法定休日に働かせた場合は、原則として35%以上の休日割増賃金が必要です。

法定外休日に働かせた場合は、その日を働いたという理由だけで直ちに35%以上の休日割増になるわけではありません。ただし、その結果として1週間の労働時間が40時間を超えるなど、時間外労働に該当すれば、時間外労働に対する割増賃金が必要になります。

「土曜日も日曜日も、同じ休日だから賃金計算も同じだろう」と考えるのは危険です。

会社として、どの日を法定休日として扱うのかを就業規則や会社カレンダーなどで明確にしておくことが大切です。

休暇とは「働く日を、制度を使って休むこと」

休暇とは、本来は働く日であるものの、法律や会社の制度によって働く義務を免除された日です。

代表的なものが、年次有給休暇です。

ほかにも、会社によって次のような休暇があります。

  • 慶弔休暇
  • 病気休暇
  • リフレッシュ休暇
  • ボランティア休暇
  • 裁判員休暇
  • 生理休暇
  • 子の看護等休暇
  • 介護休暇

ここで注意していただきたいのは、「休暇」という名前が付いていても、すべて給料が支払われるわけではないという点です。

年次有給休暇は、文字どおり賃金が支払われる休暇です。

しかし、慶弔休暇や病気休暇など、会社が独自に設ける休暇については、有給にするか無給にするかを就業規則などで決めることができます。

法律に基づく休暇についても、法律上当然に有給とされているとは限りません。

「休暇だから給料が出るはずだ」と考える社員と、「会社に来ていないから無給だ」と考える会社との間で、認識が食い違うことがあります。

休暇制度を設けるときは、対象者、取得できる日数、申請方法、必要書類、有給か無給かを就業規則で明確にしておきましょう。

休日に有給休暇を使うことはできるのか

年次有給休暇は、本来働くことになっている日の労働義務を免除し、賃金を受けながら休める制度です。

そのため、最初から働く義務がない休日に、さらに年次有給休暇を使う必要はありません。

たとえば、日曜日が休日として決まっている社員が、日曜日に有給休暇を申請したとしても、もともと働く義務がありません。免除する労働義務自体がないため、通常は年次有給休暇を使う日にはなりません。

ところが、労働日と休日の区別を理解していないと、休日に有給休暇を登録してしまい、本人の有給休暇残日数を誤って減らすことがあります。

反対に、本来の労働日に休んでいるのに、休日として処理してしまえば、欠勤控除や有給休暇管理簿の内容が不正確になる可能性があります。

年次有給休暇を処理するときは、まず、その日が本人の労働日であったかを確認してください。

「会社を休んだ日」は、休日・休暇・欠勤に分かれる

見た目としては、休日も休暇も欠勤も「社員が出勤していない日」です。

しかし、意味はまったく異なります。

休日は、最初から働く義務がない日です。

休暇は、本来働く日について、制度を使って働く義務を免除された日です。

欠勤は、本来働く日であり、休暇制度も適用されていないのに、勤務しなかった日です。

この区別ができていないと、給与計算担当者は何を根拠に控除するのか判断できません。

たとえば、本人は有給休暇を申請したつもりなのに、上司が申請処理を止めていたため、給与計算では欠勤扱いになっていたということもあります。

こうしたトラブルを防ぐためには、勤怠システム上の区分だけでなく、申請から承認、給与計算への連絡までの流れを整える必要があります。

振替休日と代休を混同する原因もここにある

労働日と休日の定義が曖昧だと、振替休日と代休も混乱します。

振替休日は、事前に労働日と休日を入れ替える方法です。

たとえば、事前に「日曜日を労働日にして、翌週の水曜日を休日にする」と決めます。適切な手続きを行えば、日曜日は入れ替え後の労働日、水曜日は休日になります。

一方、代休は、休日に働かせた後で、その代わりとして別の労働日を休ませる方法です。

代休を与えても、休日に働かせた事実が消えるわけではありません。法定休日に働かせたのであれば、原則として休日割増賃金が必要です。

厚生労働省も、振替休日は事前に休日を振り替えるもの、代休は休日労働の後に別の日を休ませるものとして区別しています。

「別の日に休ませたから割増賃金は不要」という処理は通用しません。

管理職だけが知っていても、勤怠管理はうまくいかない

この3つの言葉は、社長や人事担当者だけが理解していればよいものではありません。

社員が理解していなければ、次のようなことが起こります。

  • 休日に有給休暇を申請する
  • 欠勤と休暇を同じものだと思う
  • 代休を取れば休日割増がなくなると思う
  • シフト変更を本人同士だけで行う
  • 慶弔休暇は当然に有給だと思い込む
  • 勤怠システムで誤った区分を選ぶ

社員の入力が間違っていれば、人事担当者が毎回修正しなければなりません。

その結果、給与計算の締切直前に確認作業が集中し、ミスや残業が増えていきます。

勤怠管理を正しくするには、規程を整えるだけでなく、社員が自分で正しい区分を選べるように教育することが重要です。

社内教育は、難しい講義にする必要はありません

労働日・休日・休暇の違いを説明するために、1時間の研修を行う必要はありません。

大切なのは、次の3つを共通の判断基準にすることです。

  1. その日は、本来働く日だったか
  2. 最初から休みと決まっていたか
  3. 休暇制度を使って休んだのか

この3つを確認する習慣が付けば、多くの間違いを防げます。

そこで今回、社内教育にそのまま使えるプレゼントをご用意しました。

無料プレゼント「3分でわかる『労働日・休日・休暇』社内教育シート」3点セット

今回の無料プレゼントは、次の3点をまとめたPDFです。

  • 労働日・休日・休暇の違いが一目で分かる基本シート
  • 社員が自分で取り組める理解度確認クイズ
  • 人事担当者・管理職向けの解答、解説、指導用メモ

印刷して配布できるため、特別な準備は必要ありません。

たとえば、次のような場面で活用できます。

  • 朝礼や社内ミーティングで3分間のミニ勉強会を行う
  • 新入社員の入社時研修で配布する
  • 店長、主任、現場責任者などの管理職研修で使う
  • 勤怠入力を間違えた社員への説明資料として使う
  • 給与計算前に担当者同士で認識をそろえる
  • 就業規則を改定したときの説明会で配布する

ぜひ、人事担当者の机の中に保管するだけでなく、社員の皆さまにも配布してください。

会社全体で言葉の意味をそろえることが、勤怠管理のミスを減らす第一歩です。

「3分でわかる『労働日・休日・休暇』社内教育シート」3点セットを申し込む

フォームからお申し込みいただくと、登録したメールアドレスにダウンロード用URLが届きます。そのURLを開き、ご自身でPDFをダウンロードしてください。

3つの言葉を整理すると、勤怠管理全体が見えてくる

労働日・休日・休暇は、労務管理の基本となる言葉です。

覚え方は難しくありません。

  • 労働日……もともと働く日
  • 休日……最初から働かなくてよい日
  • 休暇……働く日に制度を使って休む日

この区別ができるようになると、有給休暇、欠勤、休日出勤、振替休日、代休、割増賃金の考え方も整理しやすくなります。

反対に、この基本が曖昧なままでは、勤怠システムを高機能なものに替えても、入力する人の判断が間違っているため、正しい結果は出ません。

システムを整える前に、言葉をそろえる。

ルールを増やす前に、社員に意味を伝える。

今回の教育シートを、御社の勤怠管理を見直すきっかけとして、ぜひ社内でご活用ください。

なお、勤務制度や就業規則の内容によって、具体的な取扱いは異なります。「自社の休日設定が分からない」「振替休日と代休の処理が不安」「勤怠区分と就業規則が合っていない」という場合は、個別に確認することをおすすめします。

参考: 厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」厚生労働省「振替休日と代休の違い」厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」

 
 
 

お問い合わせフォーム

労務相談、助成金相談などお気軽にご相談ください。