2025年12月分 人事労務クイズ~勤務間インターバル制度について~
問題 ∼ 勤務間インターバル制度について ∼
「勤務間インターバル制度」の目的として正しいものはどれ?
答え
【A】 従業員の勤務時間の削減
【B】 従業員の十分な休息時間の確保
【C】 残業代の削減
【B】 従業員の十分な休息時間の確保
1. 制度の存在意義
勤務間インターバル制度は、過労死防止や健康障害の予防のために、「前日の勤務終了から次の勤務開始までに一定の休息時間を確保する」仕組みです。
しっかり休むことで、心身の回復だけでなく、企業の生産性向上にもつながるとされています。安全配慮義務の観点からも、注目度が高まっている制度です。
2. 制度の定義と法的位置づけ
勤務間インターバル制度とは、「終業時刻から次の始業時刻までに、一定時間以上の休息を確保する制度」のことをいいます。
法的位置づけ:
「労働時間等設定改善法」に基づき、大企業・中小企業ともに導入は努力義務です(義務化ではありません)。
※令和7年12月現在。
休息時間の目安:
厚生労働省の推奨は 9時間以上 または 11時間以上。
主な目的:
過重労働による健康被害の防止、十分な睡眠・生活時間の確保です。
3. 実務上のキモ:翌日の始業時刻の繰り下げ
制度を就業規則などに定めて導入した場合、その内容は必ず守る義務が生じます。最も注意が必要なのはここです。
● インターバル時間の確保
例:インターバル11時間
残業して 23:00 に終業 → 翌日の始業時刻は 10:00 以降 にしなければなりません。
● 実務で大変なポイント
残業が不規則に発生する職場では、「始業時刻の自動繰り下げ」を手作業で運用すると、抜け漏れが起きやすくなります。
4. 制度導入・運用のポイント
就業規則への明記と周知は必須。
始業繰り下げの判断はミスが起こりやすいため、勤怠管理システムでインターバル時間を自動計算する仕組みがあると安心です。
制度導入は、健康維持だけでなく、長期的な離職防止にも効果があります。
まとめ
勤務間インターバル制度は、従業員の健康を守りながら生産性向上にもつながる制度です。企業の持続的成長のためにも、導入や運用体制の整備をご検討されてみてはいかがでしょうか。