「本当のことを書いただけ」が危ない 退職証明書で会社が訴えられるケースとは?
杉山 晃浩
「退職証明書なんて、言われたら出すだけでしょ?」
そう考えている中小企業は少なくありません。
しかし最近は、この“たった1枚の紙”が原因で、
- 元社員とのトラブル
- 名誉毀損問題
- 採用イメージ悪化
- SNS炎上
- 労働局対応
- 弁護士対応
に発展するケースが増えています。
特に怖いのは、
「本当のことを書いただけ」
という会社側の認識です。
実は、“事実”であっても、書き方や表現によって会社側が不利になることがあります。
しかも今の時代、退職者は単なる「辞めた人」ではありません。
次の求職者へ口コミを広げる存在でもあり、
会社の評判を左右する“情報発信者”でもあります。
つまり、退職証明書の問題は、
単なる書類問題ではなく、
「会社の信用問題」
なのです。
「問題社員だったから、そのまま書いた」
実際の中小企業では、こんな話があります。
- 「勤務態度に問題あり」
- 「協調性に欠ける」
- 「遅刻が多かった」
- 「トラブルメーカーだった」
- 「自己都合退職」
などを、退職証明書へそのまま書いてしまうケースです。
社長や管理職からすると、
「だって本当のことだろ?」
という感覚かもしれません。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
退職証明書は、
会社の感想を書く紙ではありません。
感情を書けば、
それは“証拠”として残ります。
しかも退職後は、
すでに会社との信頼関係が崩れているケースも多いです。
すると元社員側は、
- 採用妨害
- 名誉毀損
- 嫌がらせ
- 不当対応
と受け取ることがあります。
会社としては、
「そんなつもりじゃなかった」
でも、後から説明しても遅いのです。
そもそも「退職証明書」とは何か?
ここを勘違いしている会社も少なくありません。
退職証明書とは、
労働者が請求した場合に、
会社が発行する証明書です。
よく離職票と混同されますが、
実は別物です。
離職票は雇用保険の手続き書類。
一方、退職証明書は、
退職した事実などを証明する書類です。
しかも法律上、
労働者から請求された場合、
会社には発行義務があります。
つまり、
「気に入らないから出さない」
は危険です。
さらに怖いのは、
適当に発行してしまうケースです。
特に中小企業では、
- 社長判断
- 管理職判断
- 総務担当の独断
で作成されることがあります。
これが後々、
大きな火種になるのです。
「書きすぎ」が会社を危険にする
退職証明書で重要なのは、
“必要以上に書かない”
ことです。
ところが、
真面目な会社ほど、
細かく説明を書こうとしてしまいます。
たとえば、
- 人間関係トラブル
- 勤務態度
- 遅刻
- 性格
- 問題行動
などを書いてしまうケースがあります。
しかし、
これは非常に危険です。
なぜなら、
退職証明書は、
「次の就職先へ見せる可能性がある書類」
だからです。
つまり、
会社がマイナス情報を書けば、
「次の就職を邪魔した」
と受け取られるリスクがあります。
しかも今は、
SNS時代です。
一度トラブル化すると、
- Google口コミ
- 転職サイト
- SNS投稿
- 地域の口コミ
などで、
採用ブランドそのものが傷つくことがあります。
特に地方企業では、
このダメージは想像以上に大きいです。
「退職者対応」が採用力を決める時代
昔は、
「辞めた社員なんて関係ない」
という感覚の会社もありました。
しかし今は違います。
求職者は、
- 口コミ
- 元社員評価
- SNS
- 転職サイト
を見ています。
つまり、
「どう辞めさせたか」
まで見られる時代なのです。
採用できない会社ほど、
- 退職時に揉める
- 感情的になる
- 管理職が暴走する
- 最後に嫌味を書く
という傾向があります。
逆に、
採用が安定している会社は、
「辞め方」がきれい
です。
退職者対応が丁寧だから、
悪評が広がりにくい。
だから、
次の人材も集まりやすい。
実はこれ、
かなり重要な経営ポイントなのです。
「感情」で対応する会社ほど危険
特に危険なのは、
管理職の感情対応です。
たとえば、
- 裏切られた
- 急に辞められた
- 人手不足なのに辞めた
- 引継ぎ不足
- 周囲へ迷惑をかけた
こうした感情から、
「ちゃんと書いてやろう」
となるケースがあります。
しかし、
退職証明書は“制裁の道具”ではありません。
感情を入れるほど、
会社リスクは増えます。
しかも、
管理職が勝手に発行している会社ほど危険です。
社長が知らないところで、
余計な一文が追加されていることもあります。
だからこそ必要なのが、
- 発行ルール
- テンプレート
- チェック体制
- 管理職教育
- 就業規則整備
なのです。
「うちは大丈夫」が一番危ない
実際には、
- 昔からのやり方
- 前任者の書式
- ネットで拾ったテンプレ
- 管理職任せ
で運用している会社が少なくありません。
しかし、
時代は変わっています。
今後は、
「退職時対応」
そのものが、
会社の評価対象になります。
だからこそ、
- 書いてよい内容
- 書いてはいけない内容
- 発行ルール
- 管理職教育
を見直す必要があります。
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退職者対応を軽く見ない会社が、生き残る
人が辞めること自体は、
避けられません。
しかし、
「どう辞めてもらうか」
は、
会社の実力です。
退職時対応が雑な会社は、
- 採用でも苦戦し
- 定着でも苦戦し
- 口コミでも負けていきます
逆に、
最後まで丁寧な会社は、
- 評判が残り
- 紹介が増え
- 採用力も上がります
だからこそ、
退職証明書を“ただの紙”と思わないこと。
そこには、
会社の文化が出ます。
もし、
- 今の運用が正しいかわからない
- 管理職対応が不安
- 書式が古い
- 退職時トラブルが増えている
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