世の中では助成金の不正受給がとても多いのですね
杉山 晃浩
東京労働局の中途採用情報を見てびっくりしました。
雇用調整助成金をはじめ、助成金の不正受給が蔓延しているんだなぁと感じています。
その理由は、具体的な業務内容が次のような内容だからです。
1 業務内容
(1) 不正受給に係る事業所訪問、呼出による実態調査業務及びそれに伴う報告書等作成業務
(2) 事業所給付監査官が行う業務のサポート及びその他不正受給調査に関連する業務
(3) 雇用調整助成金の支給業務及びその他関連する業務
(4) 緊急雇用安定助成金の支給業務及びその他関連する業務
(5) 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の支給業務及びその他関連する業務
(6) ハローワークにおける窓口業務及び関連業務(ハローワーク配置者)
全て助成金の不正を暴く仕事ですね。
コロナ禍での雇用調整助成金をはじめとした救済制度的意味合いを持つ助成金は、本来持つべきチェック機能を持たずしてばらまかれました。
その結果がこの求人ですね。
報道では、大手企業でさえ億単位の雇用調整助成金の不正受給をしていたようですね。
ちなみに、私たち社労士事務所が不正に気が付かず助成金申請をしてしまうとどうなるでしょうか?
不正受給に加担したとされ、社労士の資格はく奪ですね。
事務所は閉鎖され、スタッフは全員解雇でしょう。
杉山事務所では、受任した助成金申請業務については、最新の注意を払います。
記載内容のエビデンスと照合し、不明なものはお客さまに確認を取ります。
スタッフには心労の負担が大きな業務です。
杉山事務所では、これまで多くの助成金を申請してきて、不支給となったものは2件だけです。
1件は、要件が整っていないとお客さまに伝えたにもかかわらず、申請して欲しいとのことで不支給となりました。お客様の要望なので仕方ないですが、助成金受給率100%と言えなくなってしまいました。
なお、10年以上前は、労働局のチェックは甘めだったので、杉山事務所で確実に裏取作業をしていましたね。
もう1件は要件を満たしているにもかかわらず、リーガルの部分と助成金担当者の見解が分かれ、行政判断で不支給となりました。助成金受給の可否は法廷では争えなかったので、残念な結果でした。
このような実態をご理解いただければ、助成金申請するには次の3パターンしかありません。
①不正しないスタッフを雇って自社申請する
②不正しない社労士事務所に依頼して申請する
③経営者自らが申請する
いずれにしろ、FAXDMなどで美味しい助成金や補助金の誘惑に乗らないこと。変なコンサル料金を求められたり、勝手に不正されたり面倒なことに巻き込まれやすいです。
申請手数料の値段のみで判断しないこと。税理士事務所や金融機関あたりが『〇〇なら×%ですよ』と言ってくることがありますが、安かろう悪かろうで丁寧な仕事ができるのか不思議ですね。
一定の文言だけで補助金や助成金が確実に受給できると思わないこと。そもそも1年以内に労基法違反があったら対象外と、厚生労働省の助成金パンフレットに書いてあります。労務管理が甘い会社やコンプライアンス意識が低い会社には助成金は相性が悪いです。
助成金の活用をしたければ、次のことを確実にしておきましょう。
①法改正があれば、就業規則を変更し、労基署に届出をする。
②労働条件通知書は、採用時、処遇変更時には必ず正しく作成して交付する。
③勤怠管理は、デジタルで行い、1分単位で残業代を支給する。
④人事担当者の教育時間を作り、知識のブラッシュアップを行う
⑤こまめに社労士事務所に相談する。
ぜひ、不正受給しないように助成金を活用してください。