36協定の取扱いが厳格化されてきていますね

杉山 晃浩

WEBで『【独自】“単月で63時間の時間外労働” 労基署が熊本市に是正勧告 労使間協定で定めた時間を超えて職員が残業』なる記事を見ました。RKK熊本放送のスクープのようですね。

記事をまとめれば、次のような感じになります。
熊本市の医療政策課は、労使間の合意である「36協定」に基づき、月45時間の残業時間上限を設けていた。この協定は新型コロナ対応に限り、特別な時間外労働を許可するものであった。
にもかかわらず、医療政策課の28人の職員のうち2人が新型コロナ対応とは関連しない残業をしていたとして、熊本労働基準監督署から是正勧告を受けた。これら2人の職員は、去年の4月にそれぞれ58時間と63時間の残業をしていた。
医療政策課の的場弘二課長は、この問題について「真摯に反省する必要がある」と述べ、コロナ対応業務が混在する中での管理の甘さを認めた。
同じく保健衛生部に属する新型コロナウイルス感染症対策課も4年前に、時間外労働に関する労使協定が結ばれていないことなどで是正勧告を受けていた。
是正勧告を受けた後、医療政策課では労務管理を徹底しているとのこと。
この事例は、公共部門でも時間外労働の適切な管理が求められていること、及び新型コロナ対応など特別な事情があっても、それに伴う残業が全て許容されるわけではないことを示しています。

ところで一般事業所に向けても、36協定書に記載されている内容についての指導が増えてきています。
時間外労働や休日労働をさせるときの理由について、監督署から突っ込みが入ることが増えています。
最も多いものが、36協定書に書かれている「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」と特別条項付き36協定書に書かれている「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」が同一だと不受理となることがあります。

その理由は、36協定書の記載心得に記載されています。具体的には、次のように書かれています。
「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の欄には、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に記入すること。なお、業務の都合上必要な場合、業務上やむを得ない場合等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを記入することは認められないことに留意すること。

最後に、36協定書を作成する際の注意事項をまとめておきます。

法定労働時間の確認:
法定労働時間は、1日8時間、週40時間が基本です。これを超える労働を行う場合には36協定が必要となります。

時間外労働の上限設定:
36協定では、時間外労働および休日労働の上限を明確に定める必要があります。年間の時間外労働の上限についても設定する場合があります。

特別条項の設定:
繁忙期など特定の期間に限り、時間外労働の上限を通常よりも引き上げる特別条項を設けることが可能です。

届出の必要性:
合意に達した36協定は、労働基準監督署に届出る必要があります。届出を怠ると、協定は無効となり、違法な時間外労働とみなされる可能性があります。

有効期限の設定:
36協定には有効期限が必要です。期限が切れたら更新の手続きを行う必要があります。

全ての従業員をカバー:
協定は、労働者の代表との間で結ばれるため、全ての従業員をカバーする内容である必要があります。

労使の合意形成:
協定は労使双方の合意に基づくものであるため、従業員代表(労働組合がある場合はその組合、ない場合は従業員を代表する者)の同意を得るプロセスが重要です。

明確かつ詳細な記載:
協定書は、解釈の余地を残さないように明確かつ詳細に記載する必要があります。具体的な労働時間、休日、上限時間等を具体的に定めましょう。

36協定書を含め、時間外労働に関して不安がある方は、お気軽にオフィススギヤマにお問合せください。
きっと、安心できるようになりますよ。

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