失敗しない企業型DC導入マニュアル5

杉山 晃浩

5. まとめ:選択制企業型DCを成功させるために

選択制企業型DCは、従業員の老後資金形成を支援し、企業の魅力を高める有効な制度です。しかし、その導入・運用には専門的な知識と経験が不可欠であり、安易な導入はトラブルの元となります。では、選択制企業型DCを成功させるためには、どのような点に注意すべきでしょうか。

制度導入の目的と従業員のニーズの明確化

まず、企業は選択制企業型DCを導入する目的を明確にする必要があります。従業員の老後不安を解消したいのか、優秀な人材を確保したいのか、目的によって制度設計や情報提供の方法が変わってきます。また、従業員のニーズを把握することも重要です。従業員がどのような情報を求めているのか、どのようなサポートを必要としているのかを把握し、制度に反映させることが、従業員の満足度を高める上で不可欠です。

専門家(社労士+事務取次パートナー)との連携によるリスク管理

選択制企業型DCの導入・運用には、社会保険、労働法、税務、年金制度など、幅広い知識が必要です。したがって、社会保険労務士(社労士)と事務取次パートナーの資格を併せ持つ専門家と連携することが不可欠です。社労士は、法的リスクを回避し、従業員の権利を守ります。事務取次パートナーは、煩雑な手続きを代行し、企業の事務負担を軽減します。

オフィススギヤマグループのように、SBI証券の事務取次パートナーとして加入脱退手続きなどを代行できる社労士事務所は、制度導入から運用まで、一貫したサポートを提供できます。さらに、ファンツリー協会と連携し、FPによるマネーセミナーや投資相談を無料で提供することで、従業員の投資リテラシー向上を支援します。日々の管理においては、kintoneで加入者情報を管理し、RPAを活用した業務効率化を図っています。また、労務顧問として、助成金等の相談や給与計算事務の受任も可能です。このように、企業は自社のニーズに合わせて、柔軟なサポートを受けることができます。

従業員とのコミュニケーションと信頼関係の構築

選択制企業型DCを成功させるためには、従業員とのコミュニケーションを密にし、信頼関係を構築することが重要です。制度の内容や運用状況について、分かりやすく丁寧に説明し、従業員の疑問や不安に寄り添うことが大切です。また、従業員からの相談窓口を設置し、気軽に相談できる環境を整えることも重要です。

選択制企業型DCは、従業員の未来を左右する重要な制度です。企業は、専門家と連携し、従業員とのコミュニケーションを大切にすることで、制度を成功に導き、従業員の安心と企業の発展に繋げることができるでしょう。

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