【第2回】 産後パパ育休とパパ・ママ育休プラスを正しく理解しよう ~ややこしい制度も、図解と事例でスッキリ整理!~

杉山 晃浩

■ 導入:パパ育休、名前は聞くけど中身がわからない?

「産後パパ育休って何?」「パパ・ママ育休プラスって名前は可愛いけど、内容がよくわからない」
こんな声を人事担当者の方からよく耳にします。

実はこの2つ、男性の育児休業制度を理解するうえでの“重要キーワード”です。
しかし、制度のネーミングや適用要件がややこしく、現場では混乱の原因になりがちです。

そこで今回は、制度を図解とともに整理し、申請実務の流れと注意点を明確化します。
これを読めば、社員から質問されても“自信をもって答えられる”ようになります。


■ 「産後パパ育休」とは?

✅ 制度の概要

  • 正式名称:出生時育児休業

  • 対象:父親(母には適用されない)

  • 取得可能時期:子の出生後 8週間以内

  • 取得期間:最大4週間(2回まで分割可)

  • 給付金:育児休業給付金の対象(67%相当)

✅ 特徴

  • 通常の育児休業とは別枠で取得可能

  • 「分割取得」が可能

  • 2週間前までの申出で取得可能(通常育休は1か月前)

✅ 図解(再掲を想定)

📌 図:出生から8週の間に最大4週の休業を分割して取得するパターン


■ 「パパ・ママ育休プラス」とは?

✅ 制度の概要

  • 正式には「育児休業の特例」

  • 条件を満たすことで育休期間を最大で1歳2か月まで延長可能

  • 子の出生から1歳の前日までの間に、父母ともに育児休業を取得していることが要件

✅ 要件(3つすべてを満たすこと)

  1. 父母の両方が育児休業を取得していること

  2. 同じ子についての育児休業であること

  3. 子が1歳になる前日までに育休取得を開始していること

✅ 図解(再掲を想定)

📌 図:ママは産後すぐ育休、パパは途中から育休→結果として1歳2か月まで延長可


■ よくある誤解と注意点

❌「産後パパ育休って、産後休業のことでしょ?」

➡ **違います。**産後休業は女性だけにある制度(労基法)、パパ育休は出生後に父が取得する別制度です。

❌「育児休業は1回だけじゃないの?」

➡ **分割取得が可能です。**産後パパ育休:2回まで、通常育児休業:2回まで。合計で4回取るケースもあります。

❌「育児休業を延長できるのは保育所に入れない場合だけ?」

パパママ育休プラスを使えば、保育所事情に関係なく1歳2か月まで延長が可能になります(要件あり)。


■ 人事・労務としての対応ポイント

① 社内マニュアルやQ&Aへの反映

  • 「産後パパ育休」と「パパママプラス」の定義や違いを簡潔にまとめる

  • 申出書や社内書式に“選択項目”を設けて対応しやすくする

② 管理職・現場担当への制度周知

  • 「突然の申出にどう対応するか」「引き継ぎ・代替要員の確保」など事前共有が重要

③ 就業規則や育児休業規程の整備

  • 「産後パパ育休」や「分割取得」に対応していない就業規則も未だ多く、改訂が急務


■ まとめ:制度は複雑でも、意義はシンプル

  • 産後パパ育休は、父親の育児参加の第一歩

  • パパ・ママ育休プラスは、両親が育児に関わる時間を少しでも長くするための制度

  • 複雑に見える制度も、図解と具体例があれば“現場で使える知識”になります。

次回は、社員からよくある質問に対して、人事がどう答えるべきか――
実際のケースを想定して、明快な回答例をご紹介します。お楽しみに!

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