【第3回】 男性社員の育休に関する“よくある質問”3選 2025年4月からの「出生後休業支援給付金」にも対応!
杉山 晃浩
■ 導入:「育休は取れるけど、どう説明すればいいのか分からない…」
育児休業の制度は年々進化しています。
2025年4月からは、両親が育休を14日以上取得した場合に最大28日間の追加給付金が支給される「出生後休業支援給付金」制度も新設されました。
これにより、制度が複雑になった反面、「どう説明すればよいのか」「社員から質問されたら何と答えればよいか」に悩む人事担当者も増えています。
今回は、現場で特によくある質問を3つ取り上げ、制度改正にも対応した回答例を紹介します。
■ 質問①「男性は最長でどれくらい育児休業が取れるのですか?」
✅ 回答:
最大で、子の出生から2歳の誕生日の前日まで取得することが可能です。
制度名 | 内容 | 最大期間 |
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① 産後パパ育休(出生時育児休業) | 出生後8週間以内に最大4週間(分割2回まで) | 約1か月 |
② 通常の育児休業 | 原則1歳まで 保育所に入れない等で1歳6か月・2歳まで延長可 |
最大1年11か月程度 |
さらに、要件を満たす場合は、「出生後休業支援給付金」が最大28日分追加支給されます。
✅ 新制度「出生後休業支援給付金」とは?
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両親ともに14日以上の育休を取得すれば、父または母に最大28日分の追加給付が支給されます。
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給付率は 休業開始時賃金日額の13%(非課税)
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出生時育児休業給付金または育児休業給付金と併せて、実質80%=手取り10割相当の保障になるケースも
📌 条件緩和:配偶者が育休を取っていない場合でも、一定の要件に該当すれば支給対象となります。
■ 質問②「育休って分割して取れるってどういうこと?」
✅ 回答:
現在の制度では、育児休業は最大4回まで分割して取得できます。
制度 | 分割取得可能回数 |
---|---|
産後パパ育休(出生時育児休業) | 最大2回 |
通常の育児休業 | 最大2回 |
つまり、「産後パパ育休」+「通常の育児休業」で 合計4回まで取得可能です。
✅ 具体例:
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第1回:出生直後に産後パパ育休(10日)
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第2回:1週間後に再度パパ育休(残り4日)
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第3回:子が6か月のときに通常の育児休業を取得
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第4回:1歳6か月で保育所に入れず延長育休を取得
分割取得のスケジュール管理は人事側のフロー整備がカギです。
■ 質問③「育休中のお金って、どれくらいもらえるの?」
✅ 回答:
給付名称 | 給付率 | 支給対象期間 |
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出生時育児休業給付金 | 67% | 最大28日(産後パパ育休中) |
育児休業給付金 | 67%(6か月まで) 50%(6か月以降) |
原則1歳まで(最長2歳) |
出生後休業支援給付金(NEW) | 13% | 最大28日(両親ともに14日取得などの要件あり) |
これらを合算すると、最大で「手取り10割相当」になるケースもあります(非課税)。
✅ 支給対象と注意点:
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雇用保険に加入している必要あり
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給与を支給すると減額や支給停止になることも
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出生後休業支援給付金は、「育休を取得した事実」だけでなく「給付金が支給されていること」が前提(=不支給だと対象外)
■ まとめ:説明できることで「信頼される人事」へ
育児休業制度はますます多様化しています。
「制度は知っている」だけでは不十分で、社員にきちんと伝えられることが求められる時代です。
制度改正に伴って人事が準備しておくべきことは、以下の3つです:
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✅ 新制度(出生後休業支援給付金)を加味した 最新資料の整備
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✅ 管理職・リーダー層への 制度説明研修
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✅ 「分割取得」や「パパママ育休プラス」など FAQ集の見直し
男性社員が「育休を取りたい」と言ったとき、
企業の対応力がそのまま“会社の価値”になります。