離職ゼロは無理でも、定着率は上げられる! 組織開発で始める職場改善
杉山 晃浩
第1章|人が辞める職場には、必ず“パターン”がある
「また辞めてしまいました…今年に入って3人目です」
宮崎市内にある、従業員30名ほどの建設会社「南日開発」。
人手不足の中でようやく採用した若手社員が、入社して3ヶ月足らずで退職を申し出たことに、総務部長の佐藤さんは肩を落としました。
社長も頭を抱えています。
「せっかく育てようと思っても、みんな長く居つかない。うちは給料もそれなりに出してるつもりだし、福利厚生も整えてきたつもりなんだけど…」
そう、実はこの「つもり」が、問題の本質です。
社員が定着しない企業の多くは、「待遇面」だけに着目しがちです。
ですが、社員が辞めていく本当の理由は、**“働く環境の不透明さ”や“人間関係のストレス”**にあります。
第2章|「組織の見える化」が進んでいる企業は、定着率が高い
私たちが運営する『地元の3つ星カンパニー』では、未来志向型の企業を以下の3つの視点で評価しています。
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3年後の経営目標がある
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企業型確定拠出年金を導入している
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組織の“見える化”に取り組んでいる
このうち、組織の見える化は、社員の定着において特に重要なポイントです。
見える化とは、現場の状態を「見えるようにする」こと。
「誰が何を不満に感じているのか」「どこに摩擦が起きているのか」を、経営者や管理職が直感ではなく“数値”で把握できる状態をつくるのです。
例えば、「最近、何となく雰囲気が悪い気がする」という“勘”だけでは、打ち手は曖昧になってしまいます。
逆に、実際のデータや社員の声が可視化されていれば、「この部署で評価制度への不満が高まっている」「この役職者との信頼関係に問題がある」といった具体的な課題に絞って対応できます。
第3章|南日開発が取り組んだ“ESチェック”──社員の本音があらわに
「まずは現状を知ることから始めましょう」
そう私たちが提案したのが、**ESチェック(従業員満足度調査)**の導入でした。
ESチェックは、従業員の意識や職場に対する感じ方を75項目にわたって調査し、結果を「重要度×緊急度」のマトリクスで可視化できるツールです。
南日開発でも、全社員にESチェックを実施しました。
その結果、意外なことが判明しました。
📊 調査結果のポイント:
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「評価の公平性」に対する不満が突出
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20代社員の多くが「やりがいを感じない」と回答
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「上司との関係」に関してネガティブな記述が多い
「評価が曖昧すぎて、どう頑張ったら昇給できるのか分からない」
「結局、社長の気分で給料が決まる」
「忙しいときに声をかけると嫌な顔をされるので、相談できない」
などの記述に、経営陣も驚きを隠せませんでした。
第4章|組織開発は“特別なこと”ではない──定着率改善の3ステップ
こうしたESチェックの結果をもとに、私たちは南日開発に組織開発の3ステップを提案しました。
■ Step1:現状を把握する(ESチェック)
社員の声を定量・定性的に「見える化」することで、経営層と現場のギャップを明確にしました。
■ Step2:改善に着手する(課題解決)
特に問題が深刻だった「評価制度」と「コミュニケーション」に絞って改善をスタート。
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昇給のルールと評価基準を簡潔に整理し、毎月の面談時にフィードバックを行う仕組みを導入
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管理職向けに「1on1ミーティングの進め方」研修を実施し、相談しやすい環境づくりを支援
■ Step3:再度チェックし、改善点を検証
3ヶ月後に簡易版の再ESチェックを実施したところ、20代社員の「仕事のやりがい」への回答が改善し、「評価の納得感」も数値が向上。
「まさかうちの会社で、こんなふうに社員の声が聞けるとは思っていなかった」
「手探りだった定着施策が、“手応えのある取り組み”に変わった」
そう語る佐藤部長の顔には、以前とは違う安心感がありました。
第5章|オフィススギヤマ式・定着支援プログラムとは?
私たちオフィススギヤマでは、単なるアンケート調査や一時的な研修ではなく、**定着に本気で向き合う組織改善の“継続型支援”**を行っています。
支援の流れは以下の通りです。
✅ ① 現状把握(ESチェックの導入)
…社員の声を正しく集め、優先課題を特定
✅ ② 報告書作成・課題抽出(無料相談可)
…重要度・緊急度でマトリクス化。対応策の方向性をご提案
✅ ③ 組織開発のサポート
…制度設計、職場改善、マネジメント強化などに専門家が伴走
社労士としての法務・労務知識に加え、「採用定着士」としての専門性も持つ私たちは、中小企業ならではの柔軟性とスピード感を生かし、現実的な支援を心がけています。
第6章|まとめ:離職ゼロは無理でも、“辞めたくない職場”はつくれる
人が辞めていくのは、必ずしも会社に「悪意」があるからではありません。
むしろ、**経営者や上司が“現状を知らないまま手探りで頑張っている”**ことがほとんどです。
だからこそ、「見える化」することが大事なのです。
社員は思っています。
「評価されたい」「成長したい」「信頼できる人と働きたい」
でも、声に出さなければ届かない。
経営者は、耳を傾けようとしていても、それが“見えなければ”動きようがない。
離職ゼロを目指すのではなく、「辞めたくない職場」を一緒につくりませんか?
その第一歩は、“今の状態を知る”ことです。
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