杉山 晃浩
2025年4月から育児介護休業法が改正されます。
この改正に伴い、現状の育児介護休業規則の変更が必要となります。
それにしても、育児介護休業法については、改正の度に複雑になっていきます。
厚労省が発表している育児・介護休業法 改正ポイントのご案内をご覧ください。
わかり易く、改正部分を赤字で表示してくれています。
ところで、改正内容のひとつに「子の看護休暇の見直し」という項目があります。
今年の3月いっぱいまでは、次の2つの理由でしか利用することができません。
①病気・けが
②予防接種・健康診断
でも、4月1日からは、前記の①②に加えて、次の理由でも利用することができます。
③感染症に伴う学級閉鎖等
④入園(入学)式、卒園式
みなさまの目にはどのように映るでしょうか?
③感染症に伴う学級閉鎖等については、「等」をどこまで拡大解釈して含めますか?
④入園式や卒園式が対象となるのなら、授業参観や運動会も当然対象になると考えますか?
それらの疑問を解決するためには、44ページにも及ぶ「育児・介護休業法令和6年(2024年)改正内容の解説 」を読み解く必要があります。この解説書の2ページには先ほどの疑問点について、次のような解説がされています。
「子の看護等休暇を取得できる事由として、これまでの取得事由である「子の病気やけがのため、又は予防接種や健康診断を受けさせるため」に加え、新たに「感染症に伴う学級閉鎖や入園(入学)式、卒園式」にも取得できるようになりますが、授業参観や運動会に参加する場合は、法的には子の看護等休暇の取得事由として認められません。法を上回る措置として事業主が独自の判断で取得できるようにすることは差し支えありません。」
つまり、従業員に対して、今回の法改正の内容をしっかりと伝えなければ、混乱が起きる可能性があるということですね。ちなみに、学級閉鎖等の「等」については、この解説書の中では言及されてません。
また介護離職防止のために、介護休業などについても大きく変更されています。
特に注意を引くのが、「介護両立支援制度等を取得しやすい雇用環境整備の措置」についての項目です。事業主は以下の①~④のいずれかの措置を講じなければなりません。
①介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
②介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得事例の収集・提供
④自社の労働者への介護休業・介護両立支援制度等の取得促進に関する方針の周知
ここで、①研修についての解説ですが、「①研修の実施については、全労働者を対象とすることが望ましいですが、少なくとも管理職は、研修を受けたことがある状態にしてください。」とされています。すなわち、中間管理職が法令を知らずに、部下に対して法令違反をしてしまうことが多いことの裏返しの解説だと考えています。
4月1日はもうすぐそこです。
早く育児介護休業規則を見直しして、4月1日を気持ちよく迎えるようにしましょう。