本人にどう伝える?職場の“わきのにおい”問題、夏の正しい対処法とハラスメント防止策

杉山 晃浩

夏が近づくと職場で増えるのが「わきのにおい」や体臭の相談です。
特に飲食店や介護、接客業のようにお客様と直接接する仕事では、「清潔感」はサービスの一部。
しかし、本人に悪気がないケースが多く、伝え方を誤るとパワハラやいじめと受け取られる危険性があります。

今回は、ハラスメント問題を防ぎながら「わきのにおい」問題を解決する方法、
NG対応例、正しい伝え方、そして職場全体で取り組むルール作りについて、
社労士の視点から徹底解説します。

「自分たちだけでは対応が難しいかも」と感じた方のために、最後に専門家活用のヒントもご用意していますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 夏場に増える「わきのにおい」問題とは

毎年ゴールデンウィークが明けるころから、気温が一気に上がり、汗や皮脂の分泌量が増えます。
この時期、飲食店や介護施設、接客業の職場で必ず出てくるのが「わきのにおい」や体臭に関する相談です。

体臭は個人差が大きく、体質や食生活、ホルモンバランス、ストレスなどが影響します。
特にわきが(腋臭症)は本人では気づきにくいことが多く、指摘されて初めて気づく人も少なくありません。

ここで問題になるのは、職場がサービス業である以上、清潔感が欠けると「顧客満足度」に直結し、最悪の場合クレームや売上低下、離職にもつながるということです。


2. ありがちなNG対応例とそのリスク

問題は、「どう対応するか」です。間違った対応は、問題を解決するどころか職場環境を悪化させます。

ここではよくあるNG例を2つ紹介します。


NG例①:いきなり本人にストレートに言う

「ちょっと臭うから気をつけてね」「汗かきすぎじゃない?」と直接本人に伝えるのは、
一見誠実なように見えますが、実は大きなリスクがあります。

相手は「人格を否定された」と受け止め、ショックを受けたり、自尊心を傷つけられたりすることがあります。
特にデリケートな問題だからこそ、周囲の人間関係やモチベーションに悪影響を及ぼすのです。


NG例②:陰で噂を広げる、笑い話にする

別の典型例は、本人に直接は言わずに、周囲で「ちょっとあの人やばいね」と噂を広げたり、
飲み会や休憩室で笑い話にしてしまうこと。

本人が耳にすれば深く傷つきますし、耳に入らなかったとしても「陰口が飛び交う職場」という悪い空気が漂います。
最終的には職場全体の信頼感を損ない、退職や訴訟のリスクを高めます。


このような状況に直面すると、多くの管理者は「何を言えばいいかわからない」「むしろ何もしない方が無難では」と感じ、結果的に放置してしまいます。
ですが、放置は問題の先送りでしかなく、クレームや職場内の人間関係悪化といった形で、確実に問題が表面化します。

ここで初めて、「プロに相談すべきだった」という声が多く聞かれるのです。


3. 正しい伝え方のポイント

では、どのように対応すればよいのでしょうか。


同性の上司や信頼できる先輩が伝える

社長や店長がいきなり呼び出すのではなく、同性の立場が近い人が担当することで心理的な壁が下がります。


個室や休憩室で静かに話す

周囲に聞かれない、プライバシーが確保できる環境で話すことが重要です。


全体方針の一環として伝える

「職場全体で夏場の衛生強化をしている」という流れの中で個別に声をかけると、
「自分だけが責められているわけではない」と受け止めやすくなります。


具体的な解決策を示す

「制汗剤を使う」「制服の替えを用意する」「更衣室を活用する」など、
具体的な選択肢を伝えることで、相手も行動しやすくなります。


共感を示す

「私も汗かきなので気をつけてるよ」という一言は、相手の緊張を和らげ、受け入れやすくなります。


4. 職場全体で取り組むルール作り

個別対応だけでは限界があります。
根本的な解決には、職場全体でのルール作りが必要です。


💡 衛生ガイドラインを作成する

出勤前のシャワー、制汗剤使用、清潔な制服着用を全員に求めるルールをつくります。


💡 更衣室や消臭グッズの設置

会社側でケア用品を準備することで、スタッフが気軽に対策できるようにします。


💡 空調・換気の見直し

エアコンや換気の見直しも、職場全体の快適さ向上に役立ちます。


💡 クレーム対応の社内フローを整備

問題が発生したときの相談窓口や対応ルールを決めておくことで、現場の負担を減らします。


これらの仕組みは、単に体臭対策だけでなく、職場全体の信頼感・快適さ・働きやすさを高める基盤になります。

 


5. プロに相談するメリット

「これだけのことを小さな会社やお店で全部やるのは無理…」
そう感じる方も多いはずです。

社労士などの専門家に相談すれば、

  • 衛生ガイドラインや社内ルールの作成

  • 管理者向けの伝え方マニュアルの提供

  • 店舗向けの掲示ポスターやチェックリストの作成

  • 個別面談のフォローや研修の実施

といった支援を受けられます。

特に「本人に伝える段階」でつまずいている職場ほど、
外部の視点が入ることでスムーズに進みやすくなります。

職場内だけで悩み続けるのは、解決を先延ばしにするだけ。
早めにプロを活用し、従業員・お客様双方の満足度を守ることが、結果的に会社の信用につながります。


6. まとめ・行動のすすめ

夏場の「わきのにおい」問題は、多くの職場で生じる身近な課題です。
しかし、対応を誤ると重大な人間関係トラブル、ハラスメント問題につながりかねません。

大切なのは、
✅ 個別ではなく全体方針で考えること
✅ 人格を責めずに改善策を提案すること
✅ 必要に応じて専門家の支援を受けること

です。

「これってうちの職場のことかも…」と感じた方は、ぜひ一度専門家に相談してください。
私たちは、現場に即した実践的なコンサルティングを通じて、
御社の職場環境改善を全力でサポートします。


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