「定年後は給料ダウン」が通用しない? 中小企業が今見直すべき高齢社員の賃金設計
杉山 晃浩
「60歳になったので、来月から給料は半分になります」
昔は、このような話が“当たり前”のように行われていました。
実際、多くの中小企業では、
- 定年後は嘱託社員
- 給与は大幅ダウン
- 賞与なし
- 責任はそのまま
という制度が今も残っています。
しかし、時代は大きく変わりました。
今は、
「仕事はほとんど変わらないのに、なぜ給料だけ大きく下がるのか?」
という不満が、職場の中で静かに広がっています。
さらに怖いのは、その姿を若手社員が見ていることです。
「この会社は、年を取った社員を大切にしないんだな…」
そんな空気は、採用や定着にも大きく影響します。
高齢社員の賃金問題は、単なる“人件費”の問題ではありません。
会社の未来そのものに関わるテーマなのです。
人手不足時代、「高齢社員」は重要な戦力になる
少子高齢化が進み、多くの中小企業が採用難に苦しんでいます。
特に地方企業では、
- 若手が集まらない
- 応募が来ない
- 採用コストが上がる
- 人材紹介料が高騰する
という状況が当たり前になってきました。
その一方で、60代・70代でも働き続けたいという人は増えています。
厚生労働省も、高年齢者雇用安定法の改正により、
「70歳までの就業機会確保」
を企業に求める流れを強めています。
つまり、これからの時代は、
“高齢社員をどう活かすか”
が会社経営の大きなテーマになるのです。
「定年だから給料を下げる」が危険な理由
ここで問題になるのが、賃金です。
経営者の中には、
「定年後だから給料を下げるのは当然」
「昔からそうしている」
「みんなそうしている」
と考える方も少なくありません。
しかし、今は“同一労働同一賃金”の時代です。
もし、
- 仕事内容
- 責任
- 業務量
- 勤務時間
が大きく変わっていないにもかかわらず、
“年齢だけ”を理由に大幅減額している場合、
社員から不満が出る可能性があります。
さらに、
「なぜこの金額なのか?」
を会社が説明できない状態は危険です。
特に最近は、インターネットやSNSの影響もあり、社員側も知識を持っています。
昔のように、
「会社が決めたから」
だけでは納得されない時代なのです。
高齢社員の不満は、会社全体に広がる
高齢社員の処遇問題は、本人だけの問題ではありません。
若手社員や中堅社員も、実はよく見ています。
例えば、
「長年会社に貢献した人が、60歳になった瞬間に給料半分」
そんな場面を見ると、
「この会社に尽くしても最後はこうなるのか…」
という空気が生まれます。
これは、採用にも定着にも悪影響です。
特に最近の若い世代は、
“人を大切にする会社か”
を非常によく見ています。
給与額だけではありません。
- どう扱われるのか
- どう評価されるのか
- どう感謝されるのか
を見ています。
つまり、高齢社員への対応は、
“会社の人間観”
そのものが出るのです。
高齢社員が「戦力」になる会社の特徴
では、高齢社員を上手く活かしている会社は、どんな会社なのでしょうか。
共通しているのは、
「役割設計」
ができていることです。
役割を整理している
現役時代と同じ働き方を続ける人もいれば、
- 若手指導
- 技能伝承
- 安全管理
- クレーム対応
- 教育担当
など、“経験を活かす役割”にシフトする人もいます。
つまり、
「何を期待しているのか」
が整理されているのです。
評価制度がある
再雇用後にありがちなのが、
「みんな一律」
です。
しかし、それでは頑張る人ほど不満を持ちます。
高齢社員も、
- 貢献している人
- 指導している人
- 改善提案している人
など、働き方には差があります。
だからこそ、
“見える評価”
が必要になります。
柔軟な働き方がある
高齢社員の特徴は、「多様性」です。
- フルタイム希望
- 週3勤務希望
- 午前だけ働きたい
- 通院しながら働きたい
など、希望が大きく分かれます。
そのため、
- 時短勤務
- シフト勤務
- 在宅勤務
- 業務限定勤務
などを用意している会社ほど、戦力化が進みます。
「給料を下げる技術」ではなく、「活躍してもらう設計」が必要
これからの時代に必要なのは、
“どう給料を下げるか”
ではありません。
本当に必要なのは、
- どう活躍してもらうか
- どう納得感を作るか
- どう経験を活かすか
という制度設計です。
高齢社員を単なるコストとして見る会社は、
人が定着しなくなります。
逆に、
高齢社員を大切にする会社は、
- 若手定着
- 採用力
- 技能継承
- 安全性
- 組織力
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