「高齢社員=コスト」が会社を弱くする “戦力化”できる会社だけが生き残る時代へ
杉山 晃浩
「もう年だから…」
そんな言葉を、高齢社員自身が口にする会社があります。
一方で、
「まだまだ頼りになる」
「この人がいるから現場が回る」
と言われる高齢社員もいます。
この差は、何なのでしょうか。
実はその違いは、
“本人の年齢”
ではなく、
“会社の考え方”
にあります。
少子高齢化、人手不足、採用難。
そんな時代の中で、
高齢社員を“コスト”として見る会社と、
“戦力”として活かす会社では、
組織力に大きな差が出始めています。
そして今、
その差はますます広がっています。
「若手だけで会社を回す」が難しくなっている
地方企業を中心に、採用環境は厳しさを増しています。
- 求人を出しても応募が来ない
- 人材紹介料が高い
- 若手が定着しない
- 教える人がいない
そんな声は珍しくありません。
さらに、採用できたとしても、
「育つ前に辞める」
というケースも増えています。
その結果、多くの会社で起きているのが、
“現場力の低下”
です。
こうした中、今改めて注目されているのが、
高齢社員の存在です。
厚生労働省も、高齢者雇用を推進しており、
70歳までの就業機会確保が企業に求められる時代になっています。
つまり、
「高齢社員をどう活かすか」
は、単なる福祉の話ではなく、
“経営戦略”
になっているのです。
「高齢社員=コスト」と考える会社の危険性
ところが、中には今でも、
- 年齢が高いから生産性が低い
- 若手の方が使いやすい
- 早く辞めてもらいたい
と考える会社があります。
しかし、その考え方は非常に危険です。
なぜなら、
“経験”
の価値を見落としているからです。
ベテラン社員には「先を見る力」がある
高齢社員の強みは、
単純な体力ではありません。
本当に強いのは、
- 危険察知能力
- トラブル回避力
- 顧客対応力
- 現場判断力
です。
例えば、
「このままだと事故が起きそう」
「このクレームは大きくなる」
「この新人は今フォローしないと危ない」
こうした“空気を読む力”は、
長年の経験によって培われています。
これはマニュアルだけでは身につきません。
実際、現場では、
「最後はベテランに相談する」
という会社も多いのではないでしょうか。
技能伝承できない会社は、静かに弱っていく
最近、多くの会社で起きているのが、
“技能伝承不足”
です。
- ベテランが辞める
- ノウハウが消える
- 若手が育たない
- 同じミスを繰り返す
これは非常に危険です。
特に中小企業では、
“人”
にノウハウが集中していることが少なくありません。
だからこそ、
高齢社員には、
- 教育係
- 技能伝承担当
- 安全管理担当
- 若手育成担当
など、
“経験を活かす役割”
を持ってもらうことが重要なのです。
「戦力化」できる会社は何をしているのか
では、高齢社員を上手く活かしている会社は、どんな取り組みをしているのでしょうか。
共通しているのは、
“年齢”ではなく、
“役割”
で見ていることです。
役割を明確にしている
例えば、
- 若手教育
- 顧客フォロー
- 品質管理
- 安全確認
- クレーム初期対応
など、高齢社員が強みを発揮しやすい仕事を整理しています。
すると、高齢社員自身も、
「まだ会社に必要とされている」
と感じやすくなります。
柔軟な働き方を用意している
高齢社員は、一人ひとり事情が違います。
- フルタイム希望
- 週3勤務希望
- 午前だけ働きたい
- 通院しながら働きたい
など様々です。
そのため、
- 時短勤務
- シフト勤務
- 在宅勤務
- 業務限定勤務
など、柔軟な制度を用意している会社ほど、高齢社員が活躍しています。
「ありがとう」がある
これは非常に重要です。
高齢社員は、
“感謝されない”
と急激にモチベーションが下がります。
逆に、
- 助かった
- 教えてほしい
- いてくれて安心
という言葉があるだけで、
現場への関わり方が大きく変わります。
つまり、
“承認”
も戦力化の重要な要素なのです。
若手社員は「高齢社員の扱い」を見ている
ここは経営者が見落としやすいポイントです。
若手社員は、
高齢社員への対応を見て、
「この会社で長く働いて大丈夫か」
を判断しています。
例えば、
- 長年貢献した社員を雑に扱う
- 年齢だけで切り捨てる
- 給料だけ大きく下げる
- 居場所をなくす
そんな会社を見ると、
「この会社に未来はあるのかな…」
と感じる若手も少なくありません。
つまり、高齢社員問題は、
“若手定着”
にも直結しているのです。
これから必要なのは「高齢者対策」ではない
これからの時代に必要なのは、
“高齢者対策”
ではありません。
本当に必要なのは、
「高齢社員戦力化」
です。
- どう活躍してもらうか
- どう経験を活かすか
- どう若手につなぐか
- どう働きやすくするか
を考えることです。
高齢社員を単なるコストとして見る会社は、
これからますます苦しくなります。
逆に、
高齢社員を活かせる会社は、
- 採用
- 定着
- 技能継承
- 安全管理
- 組織力
が強くなっていきます。
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