なぜ“いい人”ほど辞めないのか? 選択制企業型DC導入企業と未導入企業で起きている“社員格差”
杉山 晃浩
「給料はそこまで悪くないはずなのに、人が辞める」
最近、中小企業の経営者から、この相談が本当に増えています。
- 賞与も出している
- 人間関係も極端には悪くない
- 残業も昔より減った
- 有給休暇も以前より取りやすくなった
それでも、
「若手が定着しない」
「採用しても数年で辞める」
という会社が増えています。
一方で、同じ地域、同じ業界、同じくらいの給料でも、
「なぜか人が辞めない会社」
があるのも事実です。
この差は、どこで生まれているのでしょうか。
その大きな原因の一つが、今、中小企業の間で静かに広がっている“社員格差”です。
しかもこの格差は、単なる給料の差ではありません。
「将来に安心できる会社かどうか」
ここに大きな差が生まれ始めています。
若手社員は“今の給料”だけで会社を選んでいない
昔は、
- 終身雇用
- 年功序列
- 退職金
- 会社に長く勤めれば安心
という考え方が一般的でした。
しかし、今の若手社員は違います。
- 年金への不安
- 物価高
- 増税
- 老後2000万円問題
- SNSによる情報格差の解消
こうした時代背景の中で、
「この会社にいて、自分の将来は大丈夫なのか?」
を、かなりシビアに見ています。
特に最近は、
転職サイトやSNSで、
- 福利厚生
- 資産形成制度
- 退職金制度
- 企業型DC
- iDeCo
- 副業制度
などの情報が簡単に比較される時代です。
つまり、
「給料が同じなら、将来に強い会社を選ぶ」
という流れが起きています。
“選択制企業型DC”を導入している会社で起きていること
最近、中小企業でも増えているのが、
「選択制企業型DC」です。
正式には、
「選択制企業型確定拠出年金」
と呼ばれる制度です。
難しく聞こえますが、簡単に言えば、
「税金や社会保険料の効率を考えながら、社員が老後資産を作れる制度」
です。
特に中小企業では、
- 福利厚生強化
- 採用力アップ
- 定着率向上
- 社員満足度向上
を目的に導入する会社が増えています。
実際、導入企業ではこんな変化が起きています。
「会社が社員の将来を考えてくれている」と感じてもらえる
これが非常に大きいです。
社員は意外と、
「会社の姿勢」
を見ています。
- ただ働かせる会社なのか
- 社員の人生を考えている会社なのか
この違いは、若手ほど敏感です。
選択制企業型DCは、
単なる制度ではなく、
「社員を大切にしています」
というメッセージになります。
“見えない昇給”になる
選択制企業型DCは、
制度設計によっては、
- 社会保険料
- 税金
の負担を抑えながら、
将来資産を形成できる可能性があります。
つまり、
「同じ給料でも、将来残るお金に差が出る」
ということです。
ここが、まさに“社員格差”です。
今後、この差はさらに広がる可能性があります。
採用時の武器になる
最近の求職者は、
求人票だけでは会社を選びません。
面接前に、
- ホームページ
- SNS
- 福利厚生
- 社員口コミ
をかなり見ています。
特に若手人材は、
「この会社、ちゃんと未来を考えているな」
と感じる会社に集まりやすくなっています。
逆に、
「給料しか書いていない会社」
は埋もれやすくなっています。
未導入企業で静かに起きる“社員格差”
ここは非常に重要です。
今後、中小企業では、
「制度を導入している会社」
と
「何もしていない会社」
の差が、さらに広がる可能性があります。
例えば、
- 同じ月給
- 同じ地域
- 同じ仕事内容
でも、
- 老後資産
- 福利厚生
- 将来安心感
- 可処分所得感覚
に差が出始めます。
しかも怖いのは、
社員が比較し始めることです。
最近は転職経験者も多いため、
「前の会社には企業型DCがあった」
「友人の会社には資産形成制度がある」
という話が普通に出ます。
つまり、
会社側が知らないうちに、
“比較される時代”
になっています。
「うちは中小企業だから無理」が一番危ない
ここで、
多くの経営者が誤解しています。
- 大企業しかできない
- お金がかかる
- 難しい
- 社員が理解できない
こう思っている会社は少なくありません。
しかし実際には、
中小企業でも導入は増えています。
なぜなら、
今の採用市場では、
「福利厚生が弱い会社は選ばれにくい」
からです。
特に地方では、
若手流出が深刻です。
その中で、
- 将来に安心感がある会社
- 福利厚生を整えている会社
- 人を大切にしている会社
へ、人が集まりやすくなっています。
本当に怖いのは“採用できない会社”になること
経営者の中には、
「制度を導入するとお金がかかる」
と考える方もいます。
しかし、
もっと怖いのは、
- 採用できない
- 人が辞める
- ベテランだけ残る
- 若手が育たない
という状態です。
採用コストは、
今後さらに上がる可能性があります。
人材紹介料も高騰しています。
しかも、
せっかく採用しても、
数年で辞めれば、
教育コストも消えます。
そう考えると、
「人が残る会社を作る」
こと自体が、
経営戦略になっている時代です。
福利厚生は“コスト”ではなく“採用戦略”
昔の福利厚生は、
「あると嬉しいもの」
でした。
しかし今は違います。
福利厚生は、
採用力そのものです。
特に、
- 資産形成支援
- 柔軟な働き方
- 健康経営
- 金融教育
などは、
“未来への投資”
として見られています。
つまり、
「社員の人生をどう考えている会社か」
が問われる時代になっています。
これからは“社員の未来”を設計する会社が選ばれる
中小企業経営は、
ますます厳しくなります。
人口減少。
人材不足。
物価上昇。
その中で、
これから残っていく会社は、
「人を大切にできる会社」
です。
しかも、
“言葉だけ”
では伝わりません。
制度。
仕組み。
福利厚生。
これらを通じて、
社員に伝わっていきます。
選択制企業型DCは、
単なる年金制度ではありません。
- 採用
- 定着
- 福利厚生
- 将来安心
- 人材戦略
につながる、
「会社の姿勢」
そのものです。
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