食事も忘れて学び続けた男──船井幸雄先生の志に触れた一日

杉山 晃浩

先日、静岡県熱海市にある「船井幸雄記念館」を訪問する機会に恵まれました。

私はこれまで社会保険労務士として、多くの経営者の相談に携わってきました。

採用、人材育成、人事制度、退職金制度、労務トラブル。

経営者の悩みは実にさまざまです。

しかし、経営者の相談に乗れば乗るほど感じることがあります。

それは、経営の問題の多くは「技術」や「知識」だけでは解決しないということです。

最後に経営者を支えるのは、「志」や「信念」、そして「人としての在り方」ではないか。

そんなことを考えながら訪れたのが、船井幸雄先生の記念館でした。

船井幸雄先生とはどんな人物だったのか

船井幸雄先生は、経営コンサルティング会社「船井総合研究所」の創業者として知られています。

日本の中小企業支援に大きな足跡を残した人物であり、多くの経営者に影響を与えてきました。

私自身も若い頃から船井先生の著書に触れ、多くの学びを得てきました。

先生の特徴は、単なる経営テクニックを教えるだけではなかったことです。

数字や戦略だけでなく、

「人間としてどう生きるか」

「世の中のために何ができるか」

という本質的なテーマを追求されていました。

その姿勢は晩年まで変わることがなかったそうです。

駐車場から始まった心温まるおもてなし

記念館に到着すると、まず驚いたのはスタッフの皆様の温かい対応でした。

なんと駐車場まで迎えに来てくださったのです。

館内では丁寧な説明をしていただき、展示物一つひとつに込められた想いを知ることができました。

 

さらに今回は特別なご縁もありました。

船井幸雄先生の奥様ともお話をする機会をいただいたのです。

船井先生の日常の様子やお人柄について直接お聞きすることができ、大変貴重な時間となりました。

そして帰り際には奥様お手製のお土産までいただきました。

「素直、プラス発想、勉強好き」

と書かれたおせんべいまでいただき、その心遣いに感動しました。

そこには単なる接客ではない、人を大切にする精神が息づいているように感じました。

2710冊の蔵書が語るもの

館内には「執筆の間」が保存されています。

そこには船井先生が実際に使用していた机や愛用品が残されていました。

窓の外には豊かな緑が広がり、静かな空気が流れています。

その場所に立つと、不思議と心が落ち着いてきます。

さらに驚いたのが蔵書です。

その数、2710冊。

膨大な量の本が並んでいました。

経営書だけではありません。

歴史、哲学、科学、宗教、医学、自然、そして精神世界に関する本まで幅広く収集されています。

「食事の時間も惜しんで勉強していた」

という話を伺いましたが、その言葉が決して誇張ではないことがよく分かりました。

経営者を支援するために、自ら学び続ける。

その姿勢に強い衝撃を受けました。

人間として大切なこと

館内には船井先生の言葉が数多く展示されています。

その中でも私の心に残ったのが、

「人間として大事なこと」

という言葉です。

・自由

・正しい哲学を持つ

・大志を持つ

・なにごとも一所懸命

・仕事には生命をかけて

まさに経営者だけでなく、私たち専門家にも求められる姿勢ではないでしょうか。

もう一枚の色紙には、

「よく働き、よく学び、よく遊び、よく休む」

とありました。

頑張るだけではなく、人生全体のバランスを大切にする。

そんなメッセージにも感じました。

そして、

「運命はプラス発想に」

という言葉。

この一言に船井先生の人生哲学が凝縮されているように思います。

イヤシロチを体感する

船井幸雄先生を語る上で欠かせないのが「イヤシロチ」という考え方です。

イヤシロチとは、簡単に言えば「人や生き物が元気になる土地」のことです。

記念館が建つ場所は、船井先生自身がイヤシロチとして大切にされていた場所だそうです。

正直に言えば、私は訪問前までは半信半疑でした。

しかし実際に体験すると、不思議な感覚がありました。

庭にある石の上に立つと、足の裏からジーンとした感覚が伝わってきます。

展示されている隕石の穴に手をかざすと、風のようなものを感じました。

もちろん科学的な説明がつく部分もあるでしょう。

しかし、それだけでは説明しきれない何かを感じたのも事実です。

また、この場所は熱海の来宮神社とも深いご縁があるそうです。

豊かな自然と静かな環境。

そして多くの人々の想いが積み重なった場所。

そうしたものが合わさって、特別な空気を作り出しているのかもしれません。

経営者支援の原点を思い出した

私は普段、中小企業の経営者を支援する仕事をしています。

採用がうまくいかない。

社員が定着しない。

人事制度をどう作ればいいか分からない。

労務トラブルに悩んでいる。

そうした相談を受けることが日常です。

しかし今回の訪問を通じて改めて感じました。

本当に経営者を支援するということは、制度や仕組みだけを提供することではない。

経営者が前を向いて歩けるようにすること。

経営者が孤独にならないよう支えること。

そして経営者自身が夢や志を持ち続けられるよう応援すること。

そこまで含めて本当の支援なのだと思います。

船井先生が晩年、スピリチュアルな分野まで学ばれた理由も少し理解できた気がしました。

経営とは、人間そのものを扱う営みだからです。

経営者・経営幹部の皆様にぜひ訪れてほしい場所

もし経営に疲れている方がいたら。

もし会社の未来について悩んでいる方がいたら。

もし自分の原点を思い出したい方がいたら。

ぜひ一度、船井幸雄記念館を訪れてみてください。

そこには派手なアトラクションはありません。

しかし、本物の学びがあります。

本物の志があります。

そして、人のために生きようとした一人の経営コンサルタントの人生があります。

私自身、この訪問を通じて改めて決意しました。

もっと学ぼう。

もっと経営者の役に立とう。

もっと世の中に貢献しよう。

船井幸雄先生の志に少しでも近づけるよう、これからも学び続けていきたいと思います。

お問い合わせフォーム

労務相談、助成金相談などお気軽にご相談ください。