会社の定款、古くないですか? 事業目的と実態のズレが招くトラブルとは

杉山 晃浩

第1章:はじめに ― 定款は“会社の履歴書”です

「会社の定款なんて、設立時に作って以来一度も見ていない…」

そうおっしゃる経営者の方は意外に多くいらっしゃいます。
でも、それは例えるなら「10年前の履歴書で、今の自分を説明している」ようなものです。

会社の定款、とくに「事業目的」欄は、会社がどんなビジネスをする法人なのかを、第三者に明示する非常に重要な情報です。
そしてこの定款に記載された内容は、登記事項として法務局に登録され、公的な情報として扱われます

つまり定款の内容が実際の事業とズレていると、信用・許認可・資金調達など、さまざまな場面でトラブルの火種となり得るのです。


第2章:事業目的と実態のズレで起こるトラブルとは?

実際に、次のようなトラブルが報告されています。

❶ 銀行からの融資が下りない

ある企業が新たに「システム開発」を始めたにもかかわらず、定款上には「衣料品の販売」としか記載がないまま。
銀行の審査担当者に「目的外の事業をやっている」と判断され、融資が見送られてしまいました。

❷ 補助金申請が通らない

「事業再構築補助金」などでは、申請時に定款の写しの提出が求められます。
ここに「対象となる事業分野」が書かれていないと、審査で不利になるか、最悪の場合“門前払い”になることも。

❸ 許認可を取得できない

建設業・運送業・人材派遣業などの許可申請では、定款の目的に「該当業種」が明記されていることが条件になります。
もし書かれていなければ、申請自体が却下されます。

❹ 株主や出資者から指摘される

M&Aや資本提携の場面で、定款目的と実態事業のズレが判明すると「ガバナンスが甘い」とマイナス評価につながります。


第3章:「その他関連事業」でごまかせるのか?

定款の目的欄に、最後の方に記載されがちな「前各号に附帯または関連する一切の業務」。

確かにこの表現は、広範な事業に対応できる“逃げ道”のようにも思えます。
ですが、次のような落とし穴があります。

  • 本当に関連しているかの判断は第三者次第(=銀行・行政・裁判所がどう見るか)

  • 独立性の高い事業は「関連」とみなされない可能性

  • 新規事業を社内で始めるときの社内稟議や社外説明が曖昧になる

特に新分野に進出する場合、「その他関連事業」だけでは不十分。明示的に記載されたほうが、法的・実務的に圧倒的に安心です。


第4章:定款を見直すべき“5つのタイミング”

では、どのようなときに定款を見直すべきなのでしょうか?
代表的な5つのケースを挙げます。

① 新規事業を開始するとき

例えば「飲食業」から「ネット通販」へ、「製造業」から「教育事業」へなど、明らかに分野が変わる場合。

② 許認可を取得する際

行政手続きでは定款目的の明記が要件になる場合が多くあります。

③ 資金調達・融資を受けるとき

金融機関やベンチャーキャピタルは、定款内容を見て事業整備の度合いを確認します。

④ 株式発行・資本増強をする際

新株発行や第三者割当など、会社のガバナンスが問われる場面では、定款の整合性が重要です。

⑤ 事業承継や法人形態の変更時

代表者変更・組織再編の際は、定款を見直す絶好のチャンスです。


第5章:定款の放置で起こる法的リスク

意外と知られていませんが、定款の変更に伴って登記すべき事項を放置していた場合、「登記懈怠」となり、代表者に**5万円以下の過料(罰金)**が科されることもあります。

また、定款の内容が不明確だと…

  • 株主総会での議案提出に支障が出る

  • 社内での合意形成が困難になる

  • 裁判時の証拠資料として不備になる

といった「見えにくいトラブル」にも発展しかねません。


第6章:あなたの定款、死角はありませんか?

以下のようなチェックリストで、自社の定款を見直してみましょう。

✅ 現在行っているすべての事業が、定款の目的に書かれているか?
✅ 登記簿に反映されているか?(=法務局で最新情報になっているか)
✅ 古い事業や既にやめた事業が残っていないか?
✅ 記載文が古すぎて、現代の用語と合っていない部分はないか?

「とりあえず昔のまま」で動いている定款ほど、注意が必要です。


第7章:定款の“ズレ”は今すぐ解消を!

― 行政書士法人杉山総合法務の『定款内容チェックサービス』 ―

私たち行政書士法人杉山総合法務では、
経営実態と定款内容のズレを第三者目線で診断する**「定款内容チェックサービス」**を提供しています。


【サービス内容】

  • 現行定款の精査(PDFまたは紙でも可)

  • 実際の事業内容・Web情報・許認可などとの照合

  • 必要に応じて変更案の作成(文案付き)

  • 株主総会議事録ひな型の提供

  • 登記に向けた専門家の紹介(司法書士連携)


【このような方におすすめ】

  • 10年以上定款を見直していない

  • 新規事業を始めたが、登記まではしていない

  • 補助金申請や許認可取得を検討している

  • 今後の事業承継をスムーズに進めたい


【料金目安】

初回診断:無料(定款PDF提出・ヒアリング)
本格サポート:33,000円(税込)~(内容に応じて)


✅ まずは「無料定款診断」から

定款は、“企業の未来”に関わる重要書類です。
いま、あなたの会社の実態と、登記内容は合っていますか?

定款の放置が、将来のチャンスを逃すことにならないように。

ぜひ一度、私たちにご相談ください。

無料定款診断のお申込みはこちら

お問い合わせフォーム

労務相談、助成金相談などお気軽にご相談ください。