「高齢者雇用」は福祉ではない 生き残る会社の“経営戦略”である
杉山 晃浩
「若い人が来ない」これは今、多くの中小企業が抱えている悩みです。
しかし、その一方で、
- 定年後に急に仕事を減らされる
- ベテラン社員が居場所を失う
- 高齢社員を“お荷物”扱いする
そんな会社も少なくありません。
ここに、大きな矛盾があります。
「人が足りない」と言いながら、“働ける人材”を活かせていない
のです。
これからの時代、高齢者雇用は単なる法律対応ではありません。
まして、“優しさ”だけでもありません。
本当に必要なのは、「高齢社員をどう経営資源として活かすか」という視点です。
「定年=戦力外」が会社を弱くしている
昔の日本企業は、終身雇用が前提でした。
しかし現在は、
- 人口減少
- 採用難
- 若手不足
- 技能継承不足
という時代です。
それにもかかわらず、今でも一部の会社では、
- 60歳を超えたら補助業務
- 発言権を減らす
- 責任を外す
- 給与だけ下げる
ということが普通に行われています。
ですが、ここで考えてほしいのです。
本当に失っているのは「人件費」でしょうか?
実際には、
- 現場感覚
- 顧客との信頼
- 危険察知能力
- 若手育成力
- トラブル回避力
まで失っているケースが多いのです。
つまり、“高齢社員を軽く扱う”ことは、会社の土台を削る行為でもあるのです。
高齢社員には「マニュアル化できない価値」がある
最近、多くの会社で起きているのが、「教えられる人がいない問題」です。
若手は採用できても、育成できない。
なぜなら、“現場で教えられる人”が減っているからです。
例えば、
- この顧客にはどう対応するか
- この時は何を優先するか
- 危険な兆候をどう見抜くか
こうしたものは、単なるマニュアルでは伝わりません。
長年の経験の中で身につくものです。
つまり高齢社員は、「知識」ではなく「実践知」を持っているのです。
「高齢社員=コスト」という考え方が危険な理由
もちろん、年齢とともに変化はあります。
- 体力
- 視力
- 回復力
- 長時間労働耐性
などです。
しかし、ここで重要なのは、「弱った部分」ではなく「活かせる部分」を見ることです。
ところが、高齢社員活用が下手な会社ほど、
- できなくなったこと
- 遅くなったこと
- 若手との違い
ばかりを見ています。
その結果、「まだ使える人材」を自ら失っているのです。
本当に強い会社は「役割設計」がうまい
高齢者雇用がうまくいく会社には共通点があります。
それは、「役割を再設計している」ことです。
例えば、
- 若手教育
- 安全確認
- 品質管理
- クレーム初期対応
- 顧客フォロー
など“経験が活きる仕事”を整理しています。
つまり、「若い人と同じ働き方」を求めるのではなく、「その人が価値を出せる場所」を作っているのです。
「フルタイム前提」をやめられる会社は強い
今後、さらに重要になるのが、柔軟勤務です。
例えば、
- 週3勤務
- 午前だけ勤務
- 短時間勤務
- 通院配慮
- シフト調整
などです。
これを導入できる会社は強いです。
なぜなら、「働ける人材」を増やせるからです。
実際には、「フルタイムは無理だけど短時間なら働きたい」という人は非常に多いのです。
つまり、人がいないのではなく、「働ける形を作れていない」場合もあるのです。
若手社員は「高齢社員の扱い」を見ている
ここは非常に重要です。
最近の若手社員は、「この会社に長くいて大丈夫か」をよく見ています。
その時に参考にしているのが、高齢社員への対応です。
例えば、
- 長年働いた人を雑に扱う
- 居場所をなくす
- 感謝がない
- 給料だけ下げる
そんな会社を見ると、若手は、「自分も将来こうなるのかな…」と感じます。
つまり、高齢者雇用は、「会社の人間観」そのものなのです。
高齢者雇用は“攻めの経営”になり始めている
昔は、高齢者雇用を
- 法律対応
- 義務
- コスト
と考える会社も多かったかもしれません。
しかし今は違います。
これからは、
- 採用力
- 定着力
- 技能伝承
- 安全管理
- 健康経営
すべてに直結するテーマになっています。
つまり、高齢者雇用は、「守りではなく、「攻めの経営戦略」になり始めているのです。
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「人を活かせる会社」が最後に残る
これからの時代、会社に必要なのは、「若い人だけを集める力」ではありません。
本当に必要なのは、「多様な人材を活かす力」です。
高齢社員を、単なる“過去の人”として扱うのか。
それとも、“未来を支える戦力”として活かすのか。
その違いが、これからの会社の強さを決めていきます。
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