「また人材紹介会社から電話…」 中小企業が“採用営業”に振り回されないための対応策
杉山 晃浩
朝から電話が鳴る。
「御社、採用で困っていませんか?」
「今なら良い人材をご紹介できます」
「最近、応募減ってませんか?」
最近、中小企業の経営者や人事担当者から、このような相談を受ける機会が本当に増えました。
「人材紹介会社から毎日のように電話が来る」
「営業電話が多すぎて仕事にならない」
「紹介料が高すぎる」
「高いお金を払ったのに、すぐ辞めた」
人手不足が深刻化する中で、“採用不安”を抱える会社が増えています。
そして、その不安に入り込むように、人材紹介会社からの営業も激化しています。
もちろん、人材紹介会社そのものが悪いわけではありません。
実際、専門職採用や急募案件では、本当に助かるケースもあります。
しかし、問題なのは「紹介会社を使うこと」ではなく、“紹介会社に振り回される状態”になってしまうことです。
今回は、中小企業が人材紹介会社の営業に疲弊しないための考え方と、現実的な対応策について整理していきます。
なぜ今、人材紹介会社からの営業電話が急増しているのか
今の採用市場は、数年前とはまったく別物です。
求人広告を出せば応募が来る時代ではなくなりました。
特に地方の中小企業では、
- 若手人口減少
- 都市部流出
- 物価高
- 働き方の価値観変化
- 大手企業との待遇競争
などが重なり、「募集しても人が来ない」が当たり前になりつつあります。
その結果、人材紹介会社側も競争が激化しています。
つまり、
「紹介会社も案件を取りに必死」
という状況なのです。
最近では、
- 朝8時台
- 昼休み
- 夕方
- 月曜日の朝
- 金曜日の夕方
など、“つながりやすい時間”を狙った営業も増えています。
さらに厄介なのが、「不安を刺激する営業」です。
「このままだと応募来ませんよ」
「今後さらに採用難になります」
「競合はもう動いています」
このような言葉を聞くと、不安になる経営者も多いでしょう。
しかし、ここで冷静になる必要があります。
“焦って採用する会社”ほど、採用で失敗しやすいからです。
人材紹介会社は悪なのか?
ここは誤解しないでいただきたい部分です。
人材紹介会社は、法律に基づいて事業を行っています。
職業安定法では、有料職業紹介事業についてルールが定められており、厚生労働省も指導監督を行っています。
本当に良い紹介会社も存在します。
例えば、
- 医療専門
- 介護専門
- 建設専門
- IT専門
- 管理職特化
など、専門領域に強い会社は、企業にとって非常にありがたい存在です。
問題は、
「とりあえず紹介して決めたい」
という営業型の紹介です。
会社側が採用基準を持っていないと、
- 誰でも面接する
- とりあえず採る
- ミスマッチ発生
- 早期離職
- また紹介依頼
という悪循環に入りやすくなります。
これが“紹介依存”です。
中小企業で実際によくある失敗
高額紹介料
年収の30%〜35%という紹介料も珍しくありません。
例えば年収400万円なら、
120万円以上の紹介料
になることもあります。
中小企業にとっては、かなり大きな負担です。
しかも、短期離職時の返金ルールが複雑な場合もあります。
契約内容を十分確認せずに進めると、
「こんなはずじゃなかった」
となりやすいのです。
「紹介されたから安心」という錯覚
紹介会社が推薦していると、
「良い人だろう」
と思い込んでしまう会社があります。
しかし、最終的に採用責任を負うのは会社です。
面接で確認すべきことを確認せず、
- 価値観
- 勤務条件
- 通勤
- 人間関係
- キャリア観
などを曖昧にしたまま採用すると、後でズレが発生します。
採用担当者の疲弊
営業電話が増えると、採用担当者が疲弊します。
特に中小企業では、
- 総務兼任
- 経理兼任
- 現場兼任
というケースも多く、本業が止まってしまうのです。
これが積み重なると、
「もう誰でもいいから来てくれ」
という危険な状態になります。
営業電話に振り回される会社の共通点
実は、営業電話が多い会社には共通点があります。
それは、
“採用の軸がない”
ことです。
例えば、
- どんな人材が欲しいのか不明
- 面接基準がバラバラ
- 求人票が古い
- 定着対策が弱い
- 福利厚生の見直し不足
などです。
採用基準が曖昧だと、営業側も入り込みやすくなります。
逆に、
「うちはこの条件に合う人しか採りません」
という会社は、営業に振り回されにくいのです。
では、どう対応すればよいのか?
まず大事なのは、
“営業電話対応ルール”
を作ることです。
例えば、
- 担当窓口を決める
- 必要時以外は受けない
- 電話ではなくメール受付にする
- 情報を安易に渡さない
- 即決しない
などです。
また、
「現在は利用予定ありません」
と丁寧に断ることも重要です。
断ることは悪ではありません。
むしろ、採用方針を持っている会社ほど、必要なときに必要な会社を選べます。
本当に強い会社は“自社採用力”を育てている
最近、採用が安定している会社には共通点があります。
それは、
“紹介会社頼みではない”
ことです。
例えば、
- 求人票改善
- 面接改善
- 職場環境改善
- 福利厚生強化
- SNS発信
- 社員紹介制度
- 定着支援
などを地道に積み上げています。
特に今は、
「給与だけ」では人が集まりません。
- 人間関係
- 働きやすさ
- 休日
- 将来性
- 福利厚生
- 成長環境
など、“会社全体”が見られる時代です。
だからこそ、採用は「場当たり」ではなく、「設計」が必要なのです。
採用で疲弊する前に、まず現状把握を
もし今、
- 営業電話が多すぎる
- 紹介料負担が重い
- 採用しても辞める
- 面接に自信がない
- 採用が属人的
そんな悩みがあるなら、一度現状を整理してみることをおすすめします。
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採用は、会社の未来そのものです。
だからこそ、
「焦って採る」
ではなく、
「自社に合う人を見極める」
ことが重要になります。
人材紹介会社を否定する必要はありません。
ただ、“振り回される会社”になってしまうと、採用コストも、現場負担も、離職も増えていきます。
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