どこまでやってる?中小企業が見直したい求人の方法28選
杉山 晃浩
「求人を出しているのに、応募が来ない」
採用についてご相談を受けていると、このような声をよく聞きます。
詳しく話を伺うと、ハローワークに求人を出し、求人サイトにも掲載し、ときには有料広告まで利用している会社もあります。
決して何もしていないわけではありません。むしろ、採用担当者は限られた時間の中で、かなり頑張っています。
それでも応募が来ない。
そこで、「今度はどの求人サイトを使えばよいですか」「もっと有名な媒体に載せた方がよいでしょうか」と質問されます。
しかし、採用がうまくいかない原因は、求人方法の少なさだけとは限りません。
求人情報を見つけてもらえていないのか。
求人票を読まれても魅力が伝わっていないのか。
応募しようと思った人が、途中で離れているのか。
応募後の連絡が遅く、他社に決まっているのか。
どこで採用活動が止まっているかによって、打つべき対策は変わります。
今回は、中小企業が取り組める求人の方法を整理しながら、応募を増やすために何を見直せばよいのかを、わかりやすくお伝えします。
求人方法を増やす前に確認してほしいこと
採用に困ると、つい新しい求人媒体を探したくなります。
もちろん、掲載先を増やすことが有効な場合もあります。しかし、求人の内容や応募後の対応に問題がある状態で掲載先だけを増やしても、同じ結果を繰り返す可能性があります。
たとえば、お店の入口に大きな看板を設置して、多くの人を呼び込んだとします。
ところが、入口のドアが開きにくく、店内の様子もわからず、声をかけても誰も対応してくれなければ、お客様は帰ってしまいます。
求人も同じです。
求人サイトは、求職者に会社を見つけてもらうための「入口」にすぎません。
入口の先にある求人票、採用サイト、応募方法、連絡の速さ、面接の内容まで整って、初めて採用につながります。
したがって、「どの求人媒体がよいか」を考える前に、次の流れを確認する必要があります。
- 求職者に会社を見つけてもらえているか
- 仕事や職場の魅力が伝わっているか
- 応募しやすい仕組みになっているか
- 応募後の対応が早いか
- 面接で相互理解ができているか
- どの求人方法が採用と定着につながったか確認しているか
この一連の流れのどこかが詰まると、応募や採用は止まります。
ハローワークに出しただけで安心していませんか
中小企業にとって、ハローワークは身近な求人方法です。無料で利用できるため、まずハローワークに求人を出す会社は多いでしょう。
問題は、「一度求人票を作ったら、そのまま」になりやすいことです。
仕事内容が数行しか書かれていない。
専門用語や社内用語が多い。
入社後の一日が想像できない。
どのような人が働いているのかわからない。
会社の魅力が「アットホームな職場です」で終わっている。
これでは、求職者が応募する理由を見つけにくくなります。
求職者は、会社名だけで応募先を決めているわけではありません。
「自分にできる仕事だろうか」
「どのような人と働くのだろう」
「長く続けられる職場だろうか」
「応募したら、どのような流れになるのだろう」
このような不安を抱えながら求人票を見ています。
求人票の役割は、募集条件を並べることだけではありません。求職者の不安を一つずつ減らし、「ここなら話を聞いてみたい」と思ってもらうことです。
ハローワーク求人であっても、仕事内容、教育方法、職場の雰囲気、入社後の流れなどを定期的に見直す必要があります。
求人検索サービスは「載せれば見られる」わけではない
Indeedなどの求人検索サービスを使う会社も増えています。
ここで大切なのは、求職者が検索するときに使う言葉を意識することです。
社内では当たり前に使っている職種名でも、求職者がその言葉を知らなければ、検索結果に表示されにくくなります。
また、求人情報が表示されたとしても、最初に見える職種名や給与、勤務地、働き方に魅力がなければ、詳しい内容まで読まれません。
経営者が伝えたいことと、求職者が知りたいことは、必ずしも同じではありません。
会社側は、経営理念や将来性を伝えたいかもしれません。一方、求職者はその前に、具体的な仕事内容、休日、残業、教育体制、職場の人間関係などを知りたいと考えています。
両方を伝えることが大切ですが、順番を間違えると、会社の魅力が届く前に求人ページを閉じられてしまいます。
採用サイトやSNSは応募前の不安を減らす
求人票だけで会社のすべてを伝えることはできません。
そこで役立つのが、自社の採用サイトやSNSです。
採用サイトには、求人媒体の文字数では伝えきれない情報を掲載できます。
たとえば、次のような内容です。
- 社員の一日の仕事
- 入社後の教育スケジュール
- 社員へのインタビュー
- 職場や設備の写真
- 社長から応募者へのメッセージ
- よくある質問
- 会社が大切にしている考え方
- 仕事の大変なところ
- 選考から入社までの流れ
良いことだけを並べる必要はありません。
むしろ、仕事の厳しさや覚えてもらうことを正直に伝えた方が、入社後の「思っていた仕事と違った」を減らせます。
SNSも同様です。
毎回、立派な動画やおしゃれな写真を作る必要はありません。社員の仕事風景、社内行事、研修、地域活動、新しい設備など、日常を継続して発信するだけでも、会社の姿は伝わります。
採用活動を始めてから急に情報発信するのではなく、普段から会社を知ってもらうことが大切です。
待つだけでなく、会社から声をかける
求人を出して応募を待つ方法だけでは、採用が難しい職種もあります。
その場合は、スカウトメールやオファーメールを使って、会社から候補者へ声をかける方法も考えられます。
ただし、同じ文章を大量に送ればよいわけではありません。
「あなたの経歴のどこに関心を持ったのか」
「なぜ、自社の仕事に合うと思ったのか」
「自社でどのような活躍を期待しているのか」
これらを具体的に伝えなければ、よくある一斉送信メールとして読み流されます。
スカウトメールの目的は、いきなり入社を決めてもらうことではありません。
まずは会社に興味を持ってもらい、「少し話を聞いてみようかな」と思ってもらうことです。
そのため、応募を迫るよりも、オンライン面談、会社見学、カジュアルな説明会など、候補者が参加しやすい小さな入口を用意した方が反応につながりやすくなります。
社員紹介や人のつながりも立派な求人方法
社員から知人を紹介してもらう「社員紹介制度」も、中小企業に向いている方法です。
職場を理解している社員が、自社に合いそうな人へ声をかけるため、求人広告では出会えない人材とつながる可能性があります。
ただし、「誰かいたら紹介して」と伝えるだけでは、なかなか動いてもらえません。
募集している仕事、求める人物像、紹介後の流れ、紹介者への謝礼、個人情報の扱いなどを決め、社員にわかりやすく説明する必要があります。
また、取引先、金融機関、士業、地域団体、学校などに求人情報を共有する方法もあります。
ここで大切なのは、求人が出てから慌ててお願いするのではなく、普段から会社の考え方や仕事を知ってもらうことです。
採用は、日頃の信頼関係が思わぬところで実を結ぶことがあります。
応募が来ないのではなく、途中で逃しているかもしれない
求人情報に興味を持った人がいても、応募方法が複雑だと途中で離れてしまいます。
入力項目が多すぎる。
スマートフォンでは操作しにくい。
最初から履歴書や職務経歴書の添付を求められる。
応募後に自動返信が届かない。
数日たっても会社から連絡がない。
このような小さな不便が重なると、候補者は別の会社へ進んでしまいます。
応募者は、自社だけを受けているとは限りません。
特に在職中の人は、仕事の合間や帰宅後に複数の求人を確認しています。会社からの返事が遅ければ、「自分に興味がないのだろう」と感じる可能性もあります。
応募が入ったら、できるだけ早く連絡する。
面接日時は複数提示する。
在職中の人には夕方やオンライン面談も検討する。
選考の流れと結果連絡の時期を事前に伝える。
こうした対応も、重要な採用活動です。
求人広告にお金をかける前に、自社の応募フォームをスマートフォンで操作し、応募後の対応を求職者の立場で確認してみてください。
求人の効果を数字で確認していますか
採用活動で意外に多いのが、「どの求人方法から応募が来たのかわからない」という状態です。
何となく求人を掲載し、何となく応募が来て、採用できなければ別の媒体に変更する。
これでは、改善すべき場所がわかりません。
最低限、次の数字は求人方法ごとに記録しておきたいところです。
- 求人の閲覧数
- 応募数
- 面接数
- 内定数
- 入社数
- 採用にかかった費用
- 入社後の定着状況
応募数だけを見ても、本当に良い求人方法かどうかは判断できません。
応募が多くても、求める人物像と違う人ばかりであれば、採用担当者の負担が増えます。
反対に、応募は少なくても、自社に合う人が応募し、長く働いてくれるのであれば、その方法は価値があります。
採用の目的は、応募者を集めることではありません。
自社に合う人と出会い、入社後に力を発揮してもらうことです。
そのため、採用できたかどうかだけでなく、入社後の定着まで確認する必要があります。
無料の「求人方法棚卸し・活用診断シート」をご用意しました
ここまで読んで、「自社はどこまでできているのだろう」と感じた方もいらっしゃると思います。
そこで今回、中小企業の求人活動を整理できる「どこまでやってる?求人方法棚卸し・活用診断シート」を作成しました。
次の6分野、全28項目を確認できます。
- 認知を広げる方法
- 求人票・求人媒体
- 会社からの直接アプローチ
- 社員紹介・外部との連携
- 応募者を受け入れる仕組み
- 効果測定と改善
現在の状態をプルダウンで選ぶと、点数、達成率、総合判定、分野別判定が自動表示されます。
また、最も弱い分野が「優先テーマ」として表示されるため、何から改善すればよいかを考えやすくしています。
診断の目的は、すべての求人方法を実施することではありません。
自社に必要な方法と必要でない方法を整理し、採用につながる取組に時間とお金を集中させることです。
診断シートは、次のフォームから無料でお申し込みいただけます。
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求人方法を増やす前に、採用の流れを整える
人が採れないとき、「もっと多くの場所に求人を出そう」と考えるのは自然なことです。
しかし、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けても、水はたまりません。
求人票で魅力が伝わっていない。
応募方法がわかりにくい。
応募後の連絡が遅い。
面接で会社の良さを伝えられていない。
採用結果を記録していない。
このような状態のまま求人広告を増やすと、費用と採用担当者の負担ばかりが大きくなります。
まずは、自社が現在行っている求人方法を書き出してください。
次に、実施しているかどうかではなく、実際に効果が出ているかを確認してください。
そして、一度にすべてを変えようとせず、優先順位の高いものを三つまで選び、担当者と期限を決めて改善します。
採用活動は、一度求人を出して終わる仕事ではありません。
会社を知ってもらい、興味を持ってもらい、安心して応募してもらい、入社後に活躍してもらうまでの一連の取組です。
「応募が来ないから、また別の求人媒体へ」
その前に、自社の採用活動がどこで止まっているのかを確認してみませんか。
求人方法を増やすことよりも、今ある方法を正しく使うことが、採用成功への近道になるかもしれません。
まずは診断シートを使い、自社の求人活動を見える化することから始めてみてください。