人っ気のないハローワークに行ってみよう――求人サイトだけでは手に入らない「生の採用情報」が眠っているかもしれません

杉山 晃浩

「人を募集しているけれど、応募が来ない」

「ハローワークに求人を出しても、どうせ採用できない」

「求人票はインターネットで更新できるから、わざわざ窓口へ行く必要はない」

このように考えている中小企業の経営者や採用担当者は、少なくないと思います。

確かに現在は、ハローワークの求人者マイページを使えば、会社のパソコンから求人の申込みや内容変更、応募者の管理などができます。

便利になった一方で、ハローワークへ足を運ぶ企業は以前より減っているのかもしれません。

しかし、人手不足が深刻な今だからこそ、あえて提案したいことがあります。

それが、今回のタイトルです。

「人っ気のないハローワークに行ってみよう」

少し変わった提案に聞こえるかもしれません。

しかし、インターネットだけでは見つけにくい採用情報や、地域の求職者の動き、自社の求人票を改善するヒントが、ハローワークの窓口や配布物の中に眠っている可能性があります。

午前10時30分、企業向け窓口に来客はゼロだった

ある日、宮崎ハローワークを訪れる機会がありました。

時間は、午前10時30分ごろです。

企業が雇用保険の手続きなどを行う適用部門や、求人について相談する求人部門を見渡すと、そのとき来客は一人もいませんでした。

もちろん、これは私が訪れた時間帯の一場面にすぎません。

別の曜日や時間帯には混雑していることもあるでしょうし、この様子だけで「ハローワークはいつも閑散としている」と決めつけることはできません。

オンライン手続きが普及し、窓口へ行かなくても求人申込みや変更ができるようになった影響もあるでしょう。

それでも、企業向けの窓口に誰も並んでいない光景を見て、私はこう思いました。

「もしかすると、今はじっくり相談できるチャンスなのではないか」

応募が来ないと悩みながら、自社の求人票を見直さない会社があります。

求人サイトへ掲載し、反応がなければ掲載期間を延ばす。

あるいは、同じ内容のまま別の求人媒体へ載せ替える。

それを繰り返している会社も少なくありません。

しかし、応募が来ない原因が求人票の中にあるなら、掲載先を変えるだけでは解決しません。

誰も待っていない窓口なら、自社の求人票を持参して、地域の求職者の動きや求人内容について相談してみる。

そんな使い方ができるのではないでしょうか。

入口で見つけた「人材ニュース」

私がハローワークで見つけたのが、ポリテクセンター宮崎の「人材ニュース」でした。

ポリテクセンターは、仕事を探している人などを対象に、就職に必要な知識や技能を身につけるための職業訓練を行っている施設です。

今回の人材ニュースには、次のような訓練科の受講生や修了生に関する情報が掲載されていました。

  • 電気設備技術科
  • 電気設備保全科
  • CAD・NC加工科
  • ビル設備サービス科
  • 住宅リフォーム技術科

驚いたのは、単に「訓練を受けている人がいます」という案内ではなかったことです。

個人を特定しない形で、一人ひとりについて、希望する勤務地や職種、持っている免許・資格、過去の仕事経験、自己PRなどが掲載されています。

たとえば、電気工事や設備保全を希望している人でも、前職は製造業、介護職、営業職、建築関係などさまざまです。

中には、普通自動車免許だけでなく、電気工事士、フォークリフト、玉掛け、クレーン、建築士、介護福祉士などの資格や経験を持つ人もいました。

つまり、この人材ニュースを読めば、

「どのような人が職業訓練を受けているのか」

「いつごろ訓練を修了するのか」

「どの地域や職種への就職を希望しているのか」

という情報を、求人を出す企業側が確認できるのです。

求人広告を出して応募を待っているだけでは、なかなか出会えない情報です。

気になる訓練生には「指名求人」ができる

さらに、ポリテクセンター宮崎の人材ニュースには、気になる訓練受講生や修了生へ求人情報を届ける「指名求人」の仕組みが案内されています。

企業が人材ニュースを確認し、自社の採用条件に合いそうな人を見つけた場合、所定の指名求人用紙に番号などを記入し、求人票と一緒にポリテクセンターへ提出します。

その後、ポリテクセンターの担当者が、指名された訓練生や修了生へ求人内容を提示して、応募する意思があるかを確認します。

本人が応募を希望すれば、企業側へ連絡が入り、面接日時などを調整する流れです。

ポリテクセンター宮崎の公式案内でも、この指名求人の手続きが説明されています。ポリテクセンター宮崎「訓練受講者および訓練修了者への求人」

もちろん、企業が指名したからといって、本人に応募義務が生じるわけではありません。

すでに就職先が決まっている場合もありますし、本人が応募を希望しない場合もあります。

それでも、求人票を公開して待つだけではなく、条件の合いそうな人へ求人情報を届けてもらえることは、中小企業にとって大きな意味があります。

採用活動は、「求人を出したから終わり」ではありません。

これからは、企業側も人材情報を探し、自社に合いそうな人へ働きかける必要があります。

人材ニュースと指名求人は、そのための有力な選択肢の一つです。

ハローワークへ行く目的は、求人票を提出することだけではない

ハローワークは、求人票を受け付けるだけの場所ではありません。

ハローワーク宮崎では、企業向けに会社説明会やセミナーなども実施しています。

会社説明会では、求職者に自社の特徴や働き方を直接説明でき、実際に応募や採用につながった例もあると案内されています。

また、求人票だけでは伝えきれない会社の魅力を掲載・掲示する「企業PRシート」や、求職者専門支援窓口を利用している人へ求人情報を提供する仕組みもあります。ハローワーク宮崎「事業主の方」

さらに、求人者マイページでは求人申込みや内容変更だけでなく、求職情報の検索、応募者の管理、選考結果の入力などもできます。ハローワークインターネットサービス「事業主の方へのサービス」

このように、ハローワークには複数の採用支援があります。

ところが、企業側が「求人票を出す場所」としか考えていなければ、それらの支援を知らないまま終わります。

制度やサービスは、存在しているだけでは自社の採用に役立ちません。

知り、質問し、使って初めて価値が生まれます。

窓口では何を聞けばよいのか

何も準備せずに窓口へ行き、「誰か良い人はいませんか」と聞くだけでは、十分な情報を得にくいでしょう。

まずは、現在公開している求人票を印刷して持参してください。

そのうえで、次のように質問してみることをおすすめします。

「現在、○○職を募集しています。最近、この地域でこの職種を希望する人はいますか」

「この求人票で、求職者が応募をためらいそうな条件はありますか」

「同じ地域、同じ職種の求人と比べて、賃金や休日はどうでしょうか」

「仕事内容の書き方で、分かりにくい部分はありませんか」

「職業訓練を受けている方や、修了予定者の中に対象になりそうな人はいますか」

「参加できる会社説明会や面接会はありますか」

「企業PRシートや求人情報提供は利用できますか」

「応募前の職場見学を取り入れる場合、どのように求人票へ書けばよいですか」

これらの質問をすると、自社の求人票を求職者の目線で見直すきっかけになります。

特に重要なのは、「うちの求人は問題ありませんよね」と確認するのではなく、**「応募をためらうとすれば、どこでしょうか」**と聞くことです。

採用できない会社ほど、自社の常識だけで求人票を作っています。

しかし、会社が当たり前だと思っている条件が、求職者にとっては不安材料になっていることがあります。

たとえば、「未経験者歓迎」と書きながら、仕事内容が専門用語だらけになっている。

「アットホームな職場」と書きながら、具体的な教育方法や一日の流れが分からない。

「給与は経験を考慮」と書きながら、どの程度になるのか想像できない。

これでは、求職者は応募する前に離れてしまいます。

窓口で第三者の意見を聞けば、自社では気づかなかった問題が見つかる可能性があります。

インターネットは便利。でも、置いてある紙から分かることもある

私は、求人手続きのオンライン化を否定しているわけではありません。

求人者マイページは便利ですし、求人内容の変更や応募者管理なども効率的に行えます。

忙しい経営者や採用担当者にとって、オンラインで手続きできることは大きなメリットです。

しかし、オンラインだけを見ていると、自分が検索した情報しか目に入りません。

一方、実際にハローワークへ行くと、入口の配布物、掲示板の案内、説明会のチラシ、職業訓練に関する資料などが目に入ります。

今回の人材ニュースも、目的を持って検索した結果ではなく、たまたま置いてある資料を手に取ったことで知りました。

ここに、現地へ行く価値があります。

検索することを英語で「サーチ」といいますが、現地へ行くと「自分が探していなかった情報」に出会うことがあります。

採用活動が行き詰まっている会社に必要なのは、いつもの検索を続けることではなく、情報の取り方を変えることかもしれません。

無料プレゼントをご用意しました

とはいえ、ハローワークへ行っても、何を見て、何を聞けばよいのか分からなければ、資料を持ち帰るだけで終わってしまいます。

そこで今回、経営者や採用担当者がハローワークを訪問するときに使える、

「ハローワーク生情報収集・求人改善シート」

を作成しました。

このシートには、次の内容をまとめています。

  • 訪問前に準備するもの
  • 窓口で確認したい15項目
  • 地域の求職者動向についての質問
  • 求人票の改善点を聞くための質問
  • 職業訓練や人材ニュースの確認項目
  • 指名求人や会社説明会の確認項目
  • 持ち帰った情報を求人改善につなげる行動欄
  • 情報収集度の自動採点・自動判定

入力はプルダウンで簡単に行えます。

ハローワークを単なる手続き場所ではなく、採用情報を集める場所として活用するための実践シートです。

無料でお申し込みいただけます。

▶ 「ハローワーク生情報収集・求人改善シート」の無料申込みはこちら

フォーム送信後、登録したメールアドレスにダウンロード用URLが届きます。

印刷して窓口へ持参しても、パソコンで入力しても利用できます。

「応募が来ない」と悩む前に、一度行ってみよう

ハローワークへ求人を出しているのに応募が来ない。

そう聞くと、ハローワークに人がいないように感じるかもしれません。

しかし実際には、職業訓練を受けながら就職を目指している人、専門窓口で相談している人、条件の合う求人を探している人がいます。

問題は、その人たちに自社の求人情報が届いているかどうかです。

求人票を掲載しただけで、求職者へ十分に伝わるとは限りません。

だからこそ、企業側からハローワークへ行き、窓口で話を聞き、置いてある情報を確認し、自社の求人票を見直すことが必要です。

待ち時間が少なければ、むしろ相談のチャンスです。

人がいないように見えるから行かないのではなく、人がいないように見える今だから行ってみる。

求人サイトへ追加料金を払う前に、同じ求人票をもう一度掲載する前に、現在の求人票を持ってハローワークへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

採用を変える情報は、会社のパソコン画面ではなく、誰も並んでいない窓口の向こう側にあるかもしれません。

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