「2040年に所得5割増?」石破首相の発言にモノ申す! 中小企業が今、本気で考えるべきこと
杉山 晃浩
第1章:本気で言ってるのか? 石破首相の“5割増”発言を読み解く
2025年6月9日。石破茂首相が「2040年に平均所得を5割増やす」と発言したという報道が日経新聞で報じられました。名目GDP1000兆円という数値目標とあわせて、参院選の公約に「一番の目玉」として掲げるとのこと。
しかし、これを聞いた多くの中小企業経営者は、こう思ったはずです。
「それ、どうやって実現するんだ?」
「また現場無視の空論か」
「結局、最賃ガンガン上げればいいと思ってるんじゃ?」
年2.8%の成長で達成できると言いますが、これはインフレや物価高を含めた数字でしかありません。実質賃金が伸びなければ、生活は何も豊かにならない。そしてそれを実現する“現場”こそ、私たち中小企業なのです。
第2章:賃上げの波に中小企業はどう向き合えばいいのか?
「賃上げしろ」と言うのは簡単です。しかし、それを“現実”として実行するには、原資となる利益が必要です。今、経営現場では以下のような三重苦に直面しています。
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最低賃金の連続引き上げ
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社会保険料負担の増加
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エネルギー・材料費・物流費の高騰
社員に手取りを増やしてほしいのは経営者だって同じです。でも、「増やしてあげたい」と「増やせる」は、別次元の話です。
「売上が増えない」「価格転嫁ができない」「採用が難しい」中で、ただの“理想論”を押し付けられても、倒れるのは現場の企業です。
第3章:今すぐ見直すべきは“利益構造”と“仕組み”
この“国が上から決めた目標”に、振り回されるのはもうやめませんか?
中小企業がこれから取り組むべきは、以下のような構造的な変化です。
● 利益率で見る経営へ
売上ではなく、「粗利(付加価値)」で勝負する体質に変えていく。
安売り競争から脱し、価値ある商品・サービスを適正価格で提供できる仕組みを作る。
● 値上げの準備を今から始める
“値上げ慣れ”は大手だけの話ではありません。
価格の根拠を言語化し、伝え方を工夫する力が必要です。
● 仕組みで“人依存経営”を卒業
業務を見える化し、マニュアル化・多能工化を進める。
「〇〇さんがいないと回らない」という状態を無くすことで、給与も安定して上げられます。
第4章:採用・定着・教育が未来の“賃上げ力”を決める
平均所得を5割上げたい?
それなら、“人材”を資産として育てる文化を作るしかありません。
● 採用戦略の再構築
・「求人票が弱い」
・「誰に響くかわからない」
・「媒体任せで成果が出ない」
そんな求人を出し続けていても、良い人材は来ません。
自社の魅力を言語化し、見える化し、届ける。採用もマーケティングです。
● 定着=コスト削減=利益確保
採用より難しいのは、辞めさせないこと。
職場のストレスを減らし、評価制度を整え、キャリアの展望を示せる会社は、“賃上げできる会社”に近づきます。
● 教育は未来への投資
「即戦力が欲しい」は今や時代遅れ。
“育てて戦力化する”ための仕組みを内製化することが、会社の筋肉になります。
第5章:政策に振り回されない会社が、生き残る
私たちは、政治家の理想論を待っている余裕はありません。
ですが、使える制度は、徹底的に活用すべきです。
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雇用調整助成金、キャリアアップ助成金、業務改善助成金
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企業型確定拠出年金(DC)で社会保険料対策+従業員満足度UP
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ハラスメント外部相談窓口の設置でリスク対策とイメージ向上
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ES調査やキャリアパス制度の導入による“職場改善”
これらを単なる「制度」として見るのではなく、“経営の武器”として活用する発想が必要です。
終章:政治は未来を語る、経営者は今日を決める
石破首相が語る2040年の未来。
そこには、何の道筋も責任も伴っていません。
でも、私たち中小企業の経営者は違います。
「誰かが」ではなく、「自分たちが」未来を作る。
口先だけの政治に怒るだけでなく、
その怒りを「行動」へ変えるときです。
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今、利益構造を見直そう
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今、採用と教育に投資しよう
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今、使える制度をフル活用しよう
動けば未来は変えられる。動かなければ、どんな未来も待ってくれない。
☑ まとめ:オフィススギヤマグループの役割
オフィススギヤマグループは、書類を作るだけの社労士・行政書士ではありません。
「制度と仕組み」で会社を守り、「採用・定着・育成」の支援で未来を作る、経営者の最前線パートナーです。
世の中がどうあろうと、「御社が動けば、未来は変えられる」。
その確信を持てるように、私たちは現場に寄り添い続けます。