「“受け取り方”でここまで差が出る」 ―退職所得控除を知らない社長は損をしている
杉山 晃浩
前回の記事では、
👉「投資は“どこからお金を出すか”で差がつく」
という話をしました。
今回はその続きです。
結論から言うと、
👉 “どう受け取るか”でも、手取りは大きく変わります。
むしろ、最後のここで失敗すると、
これまでの積み上げが一気に崩れることもあります。
お金は「受け取り方」で税金が変わる
同じ1,000万円でも、
- 給与で受け取る
- 一時金で受け取る
- 退職金で受け取る
この違いだけで、手元に残るお金は大きく変わります。
多くの方は「稼ぐこと」や「増やすこと」には意識が向きますが、
👉 “受け取り方”まで設計できている人はほとんどいません。
退職所得控除の本質
ここで重要になるのが、
👉 退職所得控除
です。
ポイントはシンプルです。
- 元金(もともと拠出したお金)は課税対象ではない
- 課税されるのは「増えた部分」だけ
つまり、
👉 “増えた分にしか税金がかからない”という非常に有利な仕組み
です。
さらに、退職所得は通常の所得とは別枠で計算されるため、
👉 税負担がかなり軽くなる構造になっています。
なぜ企業型DCと相性がいいのか
企業型DCは、
- 長期で積み立てる
- 運用益が非課税
という特徴があります。
これに退職所得控除が組み合わさると、
👉 「増えやすく、かつ取り崩し時の税負担も軽い」
という非常に強い設計になります。
手残りが増える“見えない仕組み”
ここで見落とされがちなのが、
👉 元金に税金がかからないという事実
です。
例えば、
- 1,000万円積み立てて
- 1,500万円になった場合
課税対象は500万円部分です。
つまり、
👉 積み立てた1,000万円はそのまま手元に残る
ということです。
これは給与や役員報酬では絶対に実現できません。
「2回使える」という戦略
さらに経営者にとって重要なのが、
👉 退職所得控除を複数回使える可能性がある
という点です。
基本的には、
- 1回目の利用から5年以上経過
で再度活用できるとされています。
ただし、制度改正により、
👉 今後は10年以上の間隔が必要になる方向
です。
ではリスクなのか?
ここで不安に感じる方もいるかもしれません。
しかし、実務的に考えると、
👉 そこまで大きなリスクとは言えません。
なぜなら、
- 労働人口は減少している
- 経営者の高齢化が進んでいる
- 役員退任のタイミングは後ろ倒しになりやすい
つまり、
👉 そもそも短期間で2回受け取るケースが少ない
という現実があります。
むしろ考えるべきは「使わないリスク」
重要なのはここです。
👉 制度を使えなくなるリスクより、使わないリスクの方が大きい
ということです。
- 税金を多く払い続ける
- 効率の悪い投資を続ける
- 受け取り時に損をする
こうした状態が何年も続く方が、よほど大きな損失です。
「出口」まで設計して初めて完成する
ここまでで、
- どこからお金を出すか(入口)
- どう増やすか(運用)
- どう受け取るか(出口)
この3つがすべてつながりました。
👉 この3つを一体で設計できているかどうかが、経営者の差になります。
企業型DCは、この3つをすべてカバーできる数少ない仕組みです。
なぜここまで有利なのか
ここで一つ疑問が出てきます。
「なぜこんな制度があるのか?」
答えはシンプルです。
👉 国が“自助努力で老後資産を作ってほしい”からです。
つまり、
👉 制度を活用する人に有利になるように設計されている
のです。
次回予告
ここまでで、
- 投資効率
- 受け取り設計
- 税制優遇
すべて揃いました。
では最後に残るのは何か。
👉 “経営としての価値”です。
企業型DCは、
単なる節税や資産形成では終わりません。
👉 採用・定着・企業価値に直結する仕組みです。
最終回は、
「まだ1~2%しかやっていない」
―企業型DCが“採用と定着”を変える理由
について解説します。
もし今、
「自分は受け取り方まで考えているだろうか?」
と感じた方は、
ぜひ一度、資産の“出口設計”を見直してみてください。
👉 増やすことよりも、“どう受け取るか”の方が、最終的な差を生みます。