「うちは対象外」が一番危ない ─ 障害者雇用納付金と“思い違い”で損をする会社の共通点
杉山 晃浩
「うちは障害者雇用の対象じゃないから大丈夫ですよ」
経営者や人事担当者と話をしていると、今でもよく聞く言葉です。
しかし最近、この“思い違い”によって、
- 知らない間に納付金対象になっていた
- 雇用率計算を間違えていた
- 行政指導を受けた
- 慌てて採用活動を始めた
- 現場が混乱した
という会社が増えています。
特に近年は、
- 障害者雇用率の引き上げ
- 対象企業の拡大
- 短時間労働者のカウント変更
- 人手不足
などにより、「昔の感覚」で運営している会社ほど危険な時代になっています。
今回は、中小企業が見落としやすい障害者雇用の実務リスクについて、できるだけわかりやすく整理していきます。
障害者雇用は「大企業だけの話」ではなくなっている
昔は、
「障害者雇用は大企業の話」
というイメージを持つ経営者も多かったと思います。
しかし現在は違います。
法定雇用率の引き上げにより、対象企業は徐々に広がっています。
「昔は対象外だった」
会社でも、今は対象になっているケースがあります。
特に、
- パート社員が増えた
- 人数が少し増えた
- グループ会社化した
- 短時間勤務者が増えた
などによって、経営者が気づかないうちに対象企業になっていることもあります。
「人数だけ見ている会社」が危ない
障害者雇用で非常に多いのが、
「うちは社員40人いないから関係ない」
という認識です。
しかし実際には、
- 短時間労働者
- 週所定労働時間
- カウント方法
- 除外率
- グループ適用
など、かなり細かいルールがあります。
つまり、
“社長の感覚”
だけで判断すると危険なのです。
障害者雇用納付金とは?
一定規模以上の企業で、法定雇用率を達成できていない場合、納付金が発生することがあります。
簡単に言えば、
「法定人数に足りない分について、お金を納める制度」
です。
ここで怖いのは、
「突然大きなお金が出ていく」
ことです。
例えば、
- 人数増加
- 雇用率変更
- 離職
- カウントミス
によって、想定外のキャッシュアウトにつながるケースがあります。
しかも経営者の中には、
「そんな制度があること自体知らなかった」
という方も少なくありません。
実は“思い込み”が一番危ない
社労士として感じるのは、障害者雇用で一番怖いのは、
“悪意”
ではなく、
“思い込み”
です。
例えば、
「昔確認したから大丈夫」
法改正や雇用率変更があります。
3年前の知識では危険なことがあります。
「パートだから対象外」
短時間労働者でも、条件によってカウントされます。
「障害者手帳を持っている人がいないから関係ない」
そもそも会社が制度を整理していないケースがあります。
「人数が少ないからまだ大丈夫」
人が増えた瞬間に対象になることがあります。
障害者雇用は“採用問題”でもある
ここを見落としている会社が多いです。
現在、多くの中小企業は、
「人が採れない」
と悩んでいます。
その中で、
- 若手不足
- 高齢化
- 人材流出
が進んでいます。
つまり、今後は、
「働ける人に活躍してもらう」
視点が非常に重要になります。
しかし実際には、
- 業務整理できていない
- 切り出しできていない
- 現場が受け入れ準備できていない
会社も多いのです。
“とりあえず採用”が失敗する理由
納付金を避けるために、
「とにかく誰か採用しよう」
となる会社があります。
しかし、これが危険です。
例えば、
- 業務がない
- 教育担当がいない
- 配慮内容が曖昧
- 現場理解不足
- コミュニケーション不足
だと、結局うまくいきません。
結果として、
- 早期離職
- 現場トラブル
- 採用疲弊
につながることがあります。
実は“業務設計”が重要
障害者雇用は、単に人数を合わせる話ではありません。
むしろ重要なのは、
「どんな仕事をお願いするのか」
です。
例えば、
- 書類整理
- データ入力
- 清掃
- 備品管理
- 軽作業
- SNS更新
- バックヤード業務
など、切り出せる仕事は意外とあります。
しかし中小企業ほど、
「全部を一人でやる」
文化が強く、業務整理できていないことがあります。
障害者雇用は“会社の未来”にも関係する
最近は求職者も会社を見ています。
- 多様性
- 働きやすさ
- 受け入れ体制
を気にする時代です。
つまり障害者雇用は、
「義務だからやる」
ではなく、
“会社の姿勢”
として見られる時代になっています。
逆に言えば、しっかり取り組んでいる会社は、
- 採用力
- 定着力
- 企業イメージ
にもプラスになりやすいのです。
「よくわからない」は普通です
ここまで読むと、
「正直、よくわからない…」
と思った方もいるかもしれません。
でも、それは普通です。
障害者雇用は、
- 法改正
- カウント方法
- 雇用率
- 納付金
- 助成金
- 採用
- 労務管理
などが複雑に絡みます。
しかもネット情報だけでは、自社に当てはまるか判断しにくいことも多いです。
“知らない間のリスク”が一番怖い
社労士として感じるのは、
「問題が起きてから相談」
より、
「よくわからない段階で相談」
していただいた方が、圧倒的に事故を防ぎやすいということです。
特に障害者雇用は、
- 気づいた時には対象だった
- 知らない間に納付金対象だった
- 慌てて採用活動を始めた
というケースが少なくありません。
不安な方は、早めに確認してください
障害者雇用は、
- 人数確認
- 雇用率計算
- 実態確認
- 制度整理
を早めに行うことが重要です。
オフィススギヤマグループでは、
- 障害者雇用率の確認
- 納付金リスクの整理
- 実務相談
- 採用設計
- 助成金活用
- 就業規則整備
など、中小企業向けのサポートも行っています。
「うちは本当に対象外なのか?」
「今の人数計算で合っているのか?」
「納付金リスクはないのか?」
少しでも不安がある場合は、早めに確認することをおすすめします。
“知らなかった”では済まない時代だからこそ、会社を守るために、今一度、自社の状況を整理してみてはいかがでしょうか。