「出勤しているのに成果が出ない」の正体 ― プレゼンティーズム時代の“見えない労働損失”とは?
杉山 晃浩
「最近、社員が疲れている気がする…」
「人はいるのに、なぜか仕事が前に進まない…」
「以前よりミスやクレームが増えた気がする…」
そんな違和感を感じている経営者や人事担当者の方は少なくありません。
しかし、多くの会社では、
- 欠勤していない
- 退職していない
- とりあえず出勤している
という理由で、“問題なし”として扱われています。
ところが今、企業経営の世界では、「出勤しているのに本来の力を発揮できていない状態」が大きな問題になっています。
それが、今回のテーマである「プレゼンティーズム」です。
これは難しい専門用語に見えますが、簡単に言えば、「会社には来ている。でも、体調不良やメンタル不調で、本来のパフォーマンスが出せていない状態」のことです。
実はこの“見えない労働損失”が、中小企業の利益を静かに削り続けているのです。
「休んでいないから大丈夫」が危ない
以前の企業経営では、
- 欠勤率
- 離職率
- 残業時間
など、“目に見える数字”が重視されていました。しかし現在は、それだけでは会社の状態を把握できなくなっています。
例えば、
- 疲労で集中力が落ちている
- 腰痛で動きが悪い
- メンタル不調で判断力が落ちている
- 睡眠不足でミスが増える
- 人間関係悪化で会話が減る
こうした状態は、勤怠表には出ません。
でも実際には、
- 生産性低下
- ミス増加
- クレーム増加
- 若手離職
- 管理職疲弊
などにつながり、会社へ大きなダメージを与えています。しかも怖いのは、“じわじわ進行する”ことです。突然倒れるわけではありません。だから気づきにくいのです。
協会けんぽ研究で見えてきた現実
2026年5月、全国健康保険協会(協会けんぽ)が開催した調査研究フォーラムでは、この「プレゼンティーズム」に関する研究報告が行われました。
研究では、
- うつ
- 腰痛
などについて、「どれくらいの期間、労働生産性が低下するのか」が分析されています。特に衝撃的なのは、年齢が上がるほど期間が長期化している点です。
例えば、うつ症状について、
- 20代男性:約2カ月
- 50代男性:約6.8カ月
- 60代男性:約10.2カ月
という結果が出ています。
腰痛に至っては、
- 50代男性:約8カ月
- 60代男性:約18.9カ月
という非常に長い期間、生産性低下が続く可能性が示されています。
つまり、「治療している=すぐ回復する」ではないのです。
そしてこれは、大企業だけの問題ではありません。むしろ中小企業ほど深刻です。
中小企業ほど“1人の不調”が利益に直結する
中小企業では、1人ひとりの役割が重い傾向があります。
例えば、
- ベテラン1人に仕事が集中
- 現場責任者しか分からない業務
- 教育担当が固定化
- 「あの人がいないと回らない」
という会社は珍しくありません。
そこへ、
- 腰痛
- メンタル不調
- 慢性疲労
などが発生すると、一気に現場が不安定になります。特に危険なのは、「辞めてはいないから問題ない」と思い込むことです。
実際には、
- 周囲の負担増加
- 若手のストレス増加
- 教育不足
- ミス増加
- 空気悪化
などが同時進行します。そして最終的には、「若手が辞める」という形で表面化するケースも非常に多いのです。
“なんとなく疲れている会社”には共通点がある
実際に、労務相談や組織改善の現場では、危険な会社ほど共通点があります。
例えば、
- 朝礼が暗い
- 笑顔が少ない
- 雑談がない
- 管理職が常にイライラ
- 有休が取りづらい
- 若手が相談しない
- 「忙しい」が口ぐせ
- 教える余裕がない
- 腰痛持ちが多い
- ミスが増えている
こうした状態が続くと、会社全体の生産性が落ちます。しかも本人たちが、「これが普通」と思ってしまうのが怖いところです。
だからこそ、“可視化”が必要なのです。
健康経営は「きれいごと」ではない
健康経営という言葉を聞くと、
- 大企業向け
- 意識高い系
- 福利厚生
のように感じる方もいます。しかし本来の健康経営とは、「利益を守るための経営」です。
例えば、
- 腰痛対策
- 面談
- 有休取得
- 睡眠改善
- 業務分散
- 多能工化
- ハラスメント防止
- 管理職教育
などは、すべて“労働損失を減らす投資”です。
つまり、「健康=コスト」ではなく、「健康=利益防衛」なのです。
さらに最近では、
- 採用力
- 定着率
- 求人応募数
にも大きく影響しています。
若い世代ほど、「安心して働けるか」を重視する時代になっているからです。
まずは“見えていない損失”を確認してください
とはいえ、「何から始めればいいか分からない」という会社も多いと思います。
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「人手不足」の前に見るべきもの
最近は、「人が採れない」という相談が増えています。しかし実際には、“今いる社員が力を発揮できていない”ケースも非常に多いのです。
つまり、採用問題の前に、職場環境の問題が隠れていることも少なくありません。
だからこそ、
- 健康経営
- 労務管理
- 組織改善
- ハラスメント防止
- 管理職育成
を、バラバラではなく“経営全体”として考える必要があります。
オフィススギヤマグループでは、
- 労務管理
- 健康経営
- 組織改善
- 採用定着
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そんな違和感がある場合は、早めの対策がおすすめです。